
任意整理の交渉が終わると、ゴールを迎えたような気分になりますが、任意整理は新たな返済のスタートともいえます。
本記事では、弁済代行の基礎知識ややり方、手順などについてわかりやすく解説しています。自分で返済した場合と、弁済代行を利用した場合とを比較できる内容となっていますので、任意整理後の返済について疑問を解消したい際の参考にしてみましょう。
- 弁済代行とは、債務整理をした後の借金について、弁済(支払い)手続きのみ自分の代わりに弁護士にしてもらうこと
- 一般的に、債権者1件ごとに1,000円+税程度の手数料がかかることが多い
- 自分からは、毎月の振り込みが弁護士宛ての1件で済む点や、支払い漏れ・振り込み忘れなどを防ぐことができるメリットがある
- 弁済代行を利用するメリットの方が大きいかどうかは、自分の現在の借金の額や毎月の収入、債権者の数などによって異なる
※文末に「弁済代行を利用する場合と自分で返済する場合の比較表」があるので、参考にしてみてください。
※サンク法律事務所でも弁済代行を1社につき1,000円(振込手数料込み)で行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
代表弁護士 樋口 卓也
弁済代行とは
弁済代行とは、債務整理をした後の借金について、弁済(支払い)手続きのみ自分の代わりにしてもらうことです。
複数の債権者から借金をしていた場合、任意整理を行った後(任意整理後)は減額や期間を延長してもらった新しい返済方法で、借金を月々支払っていく必要があります。
これを自分だけで管理しようとすると返済日を間違えたり、複数ある支払先のうちどこかに返済をし忘れてしまったりといったミスが起こる可能性があるのです。
こうした手間やミスのリスクを回避できるのが、弁済代行手続きとなります。
弁済代行は弁護士へ依頼して行う
弁済代行は、主に債務整理を依頼した弁護士へ依頼することとなるのが一般的です。
弁護士が指定する口座へ、複数の債権者への返済分をまとめた額を月に1度入金することで、各債権者への返済を弁護士が代行して行ってくれます。
ただ、弁済代行は対応している事務所としていない事務所があるため、依頼前に弁済代行についても確認してみるとよいでしょう。
任意整理に対応している多くの弁護士事務所では、アフターサービスとして、弁済代行にも対応しているのが一般的です。
ちなみに、貸金業者が「返済代行」などと謳っているケースを時折見かけることがありますが、それらは弁済代行とは全く異なるサービスとなっています。
貸金業者が行う「返済代行」とは、一時的に借金返済を立て替え、後日立て替え分の借金に利息を乗せて請求してくるというものが多いため、注意が必要です。
弁済代行にかかる費用は?
弁済代行を弁護士へ依頼する場合、一般的な費用は1,000円+税/1件となることが多いです。
たとえば、任意整理後に毎月5社への弁済代行を依頼した場合、毎月5,000円+税ほどの手数料がかかることとなるでしょう。
弁済代行のやり方・手順
弁済代行のやり方や手順は、任意整理を弁護士へ依頼している場合は至ってシンプルです。
任意整理後に弁済代行の手続きを利用するか確認され、必要書類などを記入して提出すれば、弁済代行がスタートします。その後は、自分自身は、毎月決まった金額を指定の口座に振り込むことだけを行います。その後、弁護士が、自身である債務者に代わって、各債権者に支払いを行ってくれます。
任意整理の手続きへ入る前に弁済代行について説明がある場合と、任意整理完了後に説明がある場合、こちらから聞くまで説明がない場合など、事務所によって対応はさまざまです。
弁済代行のメリット
弁済代行を利用する最大のメリットとしては支払い漏れの心配がないという点が挙げられます。
任意整理後の返済は、1度でも返済が遅れれば、債権者から督促の連絡が来ることとなり、2度遅れると分割をストップして一括返済を求められるリスクもあるのです。
5年間など、任意整理の支払いの期間中に毎月の支払いを遅れることなく、複数社へ返済を続けられる自信がない場合は、弁済代行を利用すると安心でしょう。
また、複数社への返済が、弁護士への1度の振り込みで済むといった手間の軽減も、弁済代行で得られるメリットといえます。
弁護士宛てにまとめて1度振り込むだけで済み、債権者への支払い明細が出ないことや、ついうっかり振り込み日をすぎてしまっても債権者から直接督促がこないことから、家族に任意整理が発覚するリスクも軽減されます。
弁済代行の注意点
弁済代行の注意点としては、返済金以外に手数料がかかってしまう点です。
前述の通り、仮に1社につき1,000円+税の手数料が毎月となると、5社あった場合には年間で6万円を超える手数料を支払うこととなります。
ただ、弁済代行を利用した場合には、自分で行うことは、基本的には毎月1回の振り込みのみとなります。複数件分の振込手数料がかからないことや、自分で振込金額や件数を管理する手間やリスクなども検討したうえで、弁護士に依頼するのが良いでしょう。
自分で返済するやり方・手順
任意整理後の返済を自分で行う場合のやり方(手順)としては、債権者ごとの支払日や返済金額を把握して、毎月期日までに、それぞれの指定の金額を振込返済していくことになります。
弁護士へ弁済代行を依頼しない場合や、弁済代行に対応していない弁護士事務所だった場合には、自分で返済する方法を選ぶことになります。
自分で返済するメリット
弁済代行を使わず自分で返済するメリットは、弁済代行の手数料がかからない点といえます。
自分で返済を管理できる自信があり、なおかつ家族など内緒にしたい同居人がおらず、手数料をどうしても節約したいといった理由がある場合には、自分で返済することでメリットが得られるでしょう。
とはいえ、自分で返済する方法を選んだ場合は、以下のようなデメリットに注意する必要があります。
自分で返済するデメリット
自分で返済するデメリットで一番大きなものとしては、債権者への支払いが滞ってしまう可能性が高い、ということが挙げられます。
最初のうちは緊張感を持って返済を管理していても、3年、4年と経過すると共に「ついうっかり」振り込みを忘れてしまうといったケースは、どうしてもあり得るものとなります。
また、予想外の海外出張や入院などのために、何社もの振り込みに、突然対応できなくなってしまうような場合も考えられます。
そして、仮に返済が遅れてしまった場合には、債権者からの取り立てや督促は、弁済代行を依頼していなければ、自分自身に直接連絡が来てしまいます。
弁済代行を利用していれば、そうした連絡はすべて弁護士のところへ行くこととなります。自分で返済する方法を選ぶ際には、こうした返済の遅れによって、督促や一括返済を請求されるリスクがあることを理解しておく必要があるでしょう。
弁済代行と自分での返済を比較
任意整理後の返済について、弁済代行を依頼した場合と、自分で返済した場合とでそれぞれ比較してみましょう。
| 弁済代行を利用する場合 | 自分で返済する場合 | |
| 毎月の振込件数 | 1件 | 債権者の社数分 |
| 返済が遅れる場合の相談先 | 依頼中の弁護士 | 各債権者 |
| 返済が遅れた場合の督促先 | 依頼中の弁護士 | 自分 |
| 債権者からの郵便物の送り先 | 依頼中の弁護士 | 自宅 |
| 振り込みにかかる費用 | 1回分の振込手数料 | 債権者の社数分の振込手数料 |
毎月の振込件数
毎月の振込件数は、自分で返済する場合には、債権者の数だけ振り込みが発生します。任意整理をした債権者が3社なら3件、5社なら5件の振り込みが必要となります。
弁済代行を依頼した場合は、毎月弁護士へまとめて振り込む1件のみとなります。
返済が遅れる場合の相談先
返済が遅れそうな時、自分で返済する場合は、自分自身で債権者と相談をする必要があります。
複数件返済についての相談をするだけでもひと苦労ですが、個人で相談・交渉をすると、弁護士が連絡するよりも希望が通りにくい可能性がある、という点も要注意です。
弁済代行を依頼している場合は、どうしても返済が遅れそうな場合は弁護士に連絡します。そうすると、弁護士が代わりに債権者との相談を検討してくれます。
もちろん、弁護士に対応してもらえるからといって「任意整理後に何度も返済を遅延させてもいい」というわけではありません。
生活状況が変わるなどして、任意整理後の返済が苦しくなってしまった場合は、債務整理の手続き、方針そのものを変更する必要があるかもしれません。ためらわず、弁護士に相談してみましょう。
返済が遅れた場合の督促
返済が遅れてしまった場合、自分で返済している場合は自分のところに電話や郵送で督促がきます。複数社から取り立ての連絡を受けるケースもあるでしょう。
弁済代行を依頼していれば、債権者はまず弁護士事務所に連絡をします。その後、弁護士から依頼者に確認の連絡が入ることとなります。
債権者からの郵便物
債権者からの郵便物の送り先について、自分で返済している場合は自宅へ郵便物が届きます。弁済代行の手続きをとっている場合は、弁護士のもとへ届きます。
任意整理をしていることについて家族に内緒にしておきたい場合は、弁済代行を依頼した方が家族に発覚するリスクが少なくなると言えるでしょう。
振り込みにかかる費用
自分で返済する場合、複数の債権者宛てに振り込む場合は、1件ごとにATMなどの振込手数料がかかります。相手先の口座と自分の口座や時間帯、振込金額などにより、振込手数料は異なります。
一方、弁済代行を利用する場合は、債権者の社数分の手数料を含んだ毎月の支払額を、月に1度弁護士事務所に振り込みます。ATM手数料は1件分ということになります。
弁済代行の手数料は、債権者が多ければ、年間を通すと決して安いとはいえない額になります。
弁済代行を利用するメリットの方が大きいかどうかは、自分の現在の借金の額や、毎月の収入や債権者の数などによって異なります。
上記の一覧表を参考にして、自分のケースの場合には弁済代行を利用するべきかどうか、メリットとデメリットの双方を比較して、判断するとよいでしょう。
まとめ
弁済代行とは、債務整理をした後の借金について、弁済(支払い)手続きのみ自分の代わりに弁護士にしてもらうことです。
一般的に、債権者1件ごとに1,000円+税程度の手数料がかかりますが、自分からは毎月の振り込みが弁護士宛ての1件で済む点や、支払い漏れ、振り込み忘れなどを防ぐことができるメリットがあります。
返済が遅れそうな場合の相談も弁護士を通すことができる・債権者からの郵便物を自宅で受け取らなくてよいといったメリットもあります。
弁済代行を利用するメリットの方が大きいかどうかは、自分の現在の借金の額や毎月の収入、債権者の数などによって異なります。
「確実に任意整理後の返済を終わらせて、生活を再建させることができるか」を軸に考え、自分にとって最善の返済方法を選択しましょう。
サンク総合法律事務所では、1社につき1,000円(振込み手数料込)で弁済代行を行っています。仮に支払い忘れなどがあった場合も、債権者からはこちらの事務所に連絡が来るので、精神的に安心できるという方が多く、積極的に利用されています。
弁済代行を検討されている方・悩まれている方も、まずは無料相談をご利用ください。