任意整理をすると、信用情報機関の管理する信用情報に事故情報として掲載されます。
この状態を指して俗に「ブラックリストに載った状態」と言われることがあります。
ブラックリストに載ってしまうとクレジットカードが使えなくなったり新たなローンが組めなくなったりといった制限が生じるため、「自分の信用情報がいつ回復するのか」という点が気になる方も多いことでしょう。
「任意整理をしてから5年すれば、ブラックリストから解除される」と言われていますが、それはいつから5年を指すのでしょうか?
本記事では、任意整理後、ブラックリストから解除されるまでの期間に関して詳しく解説していきます。
信用情報機関ごとのブラックリストの登録期間やブラックリスト入りの影響のほか、信用情報の回復を目指すためのステップやアドバイスもご紹介していますので、借金の返済でお悩みの方はご一読ください。
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 市川 正敏
任意整理のブラックリストは完済から5年
任意整理後、多くの債権者がブラックリストからの削除を行うのは「借金完済から5年後」とされています。
一部の債権者は、「交渉後に和解してから5年」でブラックリストを解除することもケースもあります。
ここではまず、信用情報機関ごとのブラックリストの登録機関について見ていきましょう。
| CIC | 債務完済から約5年間 |
| JICC | 契約日が2019年9月30日以前:和解した日から約5年間 契約日が2019年10月1日以降:債務完済から約5年間 |
| KSC | 債務完済から約5年間 |
信用情報機関とは、個人の借入や返済状況などの情報を登録・管理する機関を指します。
銀行やカード会社、消費者金融などの金融機関は、資金の貸し借りやクレジットカードの発行時に信用情報機関の情報を参考にするのが一般的です。
日本には、上記の3つの信用情報機関があり、銀行やカード会社、消費者金融などが以下のように加入しています。
| 信用情報機関 | 主な加入企業 |
| CIC | 銀行、信販・消費者金融、デパート、 家電メーカー系・自動車メーカー系・銀行系・流通系クレジット会社、リース・保証・携帯電話会社 |
| JICC | 銀行、信販・消費者金融、リース・保証・携帯電話会社 |
| KSC | 銀行、信用金庫・信用組合、政府関係金融機関、信用保証協会、クレジットカード・保証会社 |
金融機関やカード会社は必ず3つの信用情報機関のうちのいずれかに加入しており、信用情報機関は金融機関から提供された信用情報を一元管理し、他の金融機関に提供しています。
金融機関が融資やローンサービスを提供する際には、申込者の信用情報を信用情報機関から入手し、その情報を基に申込者の返済能力を判断します。
そのため、信用情報機関に延滞や債務整理などのネガティブな情報が記録されていると、新たな融資やローンの審査に通過するのが難しくなるのです。
任意整理をした場合も信用情報機関に情報が記録されて「ブラックリスト」扱いとなりますが、記録が消えるタイミングは3つの信用情報機関すべて「原則として完済後5年」となっており、これが「任意整理後のブラックリストは5年は消えない」といわれている理由です。
なお、JICCのみ「2019年9月30日以前の契約については和解した日から約5年後」となっています。
完済から5年ピッタリで解除されるとは限らない
「任意整理をした後、完済から5年でブラックリストから消える」とご説明しましたが、完済からちょうど5年後にブラックリストから解除されるとは限りません。
信用情報機関や債権者の方針、そして個々のケースによって、登録や削除のタイミングは異なります。
信用情報機関が情報を更新するまでにタイムラグがあることもあるでしょう。
情報の取り扱いに誤りがあったり更新が遅れていたりする場合、ブラックリストの解除がスムーズに進まない可能性があります。
「完済から5年でブラックリストから解除される」というのはあくまで一般的な目安であり、5年ピッタリではなく約5年とお考えください。
ブラックリストから消えたか確認できる
完済から5年が経過したとしても信用情報期間から連絡が来ることはないため、本当に消えているのか不安な方もいるでしょう。
ブラックリストから解除されているかどうかは、信用情報機関の「信用情報開示制度」を利用して自分で確認することができます。
ブラックリストの確認方法は信用情報機関ごとに異なります。以下にまとめましたので、参考にしてください。
| 信用情報機関 | 確認方法 | 手数料 |
| CIC | パソコン・スマートフォン・窓口 | 500円 |
| JICC | スマートフォン・窓口 | 1,000円 |
| KSC | インターネット・郵送 | 1,000円 |
どの信用情報機関もブラックリストの確認には運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどの本人確認書類が必要ですので、確認の前に用意しておくようにしましょう。
社内ブラックは完済から5年でも消えない可能性がある
CIC・JICC・KSCといった信用情報機関のブラックリストは、通常は借金が完済してから5年で解除されますが、任意整理を行った金融機関によっては社内独自のデータとして事故情報を持ち続け、完済から5年以降もブラックリストから解除されないことがあります。
いわゆる「社内ブラック」と呼ばれる状態です。
任意整理を行ったクレジットカード会社に、ブラックリストから消えてから再度申し込みをしても審査が通らない可能性が高いですし、そのクレジットカード会社にグループ会社があれば、そこも審査に落ちる可能性が高いのです。
このような社内ブラックは、半永久的に続くこともあるので、任意整理を行った金融機関と、そのグループ会社のサービスは今後ずっと利用できないと考えておいた方が良いでしょう。
任意整理をすると8年〜10年はブラックリストになる
完済から5年でブラックリストは解除されますが、任意整理では完済に至るまでには通常3〜5年かかります。
そのため、完済までの期間を3年とすると、完済までの3年と完済後の5年を合わせて任意整理を開始してから約8年は信用情報に事故情報が残る可能性があります。
今、任意整理を開始したら8年〜10年にブラックリストから解除されるということを覚えておきましょう。
ブラックリストの影響が出るタイミング
任意整理が始まると信用情報に事故情報が登録されますが、事故情報が載るタイミングは任意整理を行う金融機関とそれ以外の金融機関で以下のように異なります。
任意整理をする金融機関
任意整理をする金融機関については、すぐブラックリストになるとお考えください。
弁護士を通じて任意整理をするなら、弁護士が送付した受任通知を債権者が受領した時点で債務整理として事故情報が登録されます。
弁護士に依頼せず自ら任意整理を申し出たときは、債権者にその旨を伝えた時点で事故情報が登録されます。
任意整理をしていない金融機関
任意整理をしていない金融機関は、信用情報を確認したタイミングからブラックリストの影響を受けます。
消費者金融であれば新規借り入れの際に、クレジットカードであれば定期的に、それぞれ信用情報の確認が行われています。
また、3つの信用情報機関は、CRIN(Credit Information Network)というネットワークを通じて相互に情報をやりとりしています。
CRINとは事故情報を共有するためのシステムで、信用情報の透明性を高めることを目的としています。
信用情報機関の1つに事故情報が登録されると、その情報はCRINを通じて他の信用情報機関にも共有されます。
つまり、任意整理をしたのがCICに加入する金融機関だけの場合でも、JICC、KSCに加入する金融機関にも情報が行き渡り、信用情報機関に加入する全ての金融機関でブラックリストの影響が出てしまいます。
完済から5年経つまでできないこと
任意整理でブラックリストに載ると、解除までには最低でも5年かかるため、さまざまな審査や契約の際にハンデが生じます。
特に、将来住宅や不動産といった大きな買い物を考えている方は相当な不利益を被る可能性があります。
以下では、完済してから5年間はできないことを紹介します。
新たな借入
多くの金融機関はブラックリスト入りしている人に対しては信用をおけないため貸付を制限しており、ブラックリストの期間中は新しいキャッシングやローンなどの借り入れはできません。
時折、「ブラックリスト入りの方でも大丈夫」「審査不要!」などと謳っている金融機関も存在しますが、それは違法なヤミ金業者の可能性があります。
任意整理後の返済中はもちろん、完済後も絶対に手を出さないようにしましょう。
クレジットカードの利用・作成
任意整理をしたクレジットカードは、手続きを行う過程で解約扱いとなるため使用できなくなります。
また、任意整理をしていないクレジットカードであっても、信用情報が金融機関の間で共有されるため将来的には使用できなくなります。
審査に影響を与える可能性が高いため、信用情報機関に記録された事故情報が削除されない限り、任意整理をした会社・していない会社を問わず新規のクレジットカード作成はできないと考えてください。
携帯電話などの分割購入
携帯電話やスマートフォンも分割払いでの購入が難しくなるため、入手するには一括で購入する必要があります。
ブラックリストから解除されるには任意整理が始まってから8~10年程度かかるため、機種変更をせず同じスマートフォンを使い続けるのは無理があります。
計画的に購入資金を準備するようにしましょう。住宅や車など、高価な商品のローンも同様です。
ローンは商品を事前に受け取って「後払い制度」を提供するシステムですので、信用が低い場合ローンを組むことはできないでしょう。
保証人になる
ブラックリストに載ると、保証人にはなれません。
保証人とは、契約者が借金を返せなくなった場合にその代わりに返済を行う人を指します。
当然、保証人は契約者が返済できない場合に備えて支払い能力のある人でなければなりません。
ブラックリスト入りしていると、金融機関や企業はその個人の信用情報をチェックし、信用が低いと判断します。
そのため、ブラックリスト入りしていると保証人になることは非常に難しくなります。
5年経ちブラックから消えたらゼロからスタート
完済から約5年が経過すればブラックリストから解除されます。
このときの信用情報は真っ白な状態です。プラスの実績もマイナスの実績も何も記載されていない状態になり、プラスの実績を作り、信用履歴の再構築をしていくことになります。
プラスの実績がない状態でもローンを組んだりカードを作ったりすることは可能ですが、住宅や自動車などの高額のローンは組めないことがあります。
そのため、まずは比較的審査が通りやすいことから始めるのが良いでしょう。
例えば、携帯電話の契約や利用限度額が低いクレジットカードの作成であれば、審査が通りやすいです。
ローンやカードを契約したら、滞納などをせずに利用することで信用履歴が再構築されていきます。
クレジットカードの利用額を抑えるなど、適切な金融管理を行えば、信用の回復だけでなく、借金の再発防止にも繋がるでしょう。
コツコツと信頼を築いていくことで徐々に信用情報は改善されていきますので、根気強く取り組みましょう。
まとめ
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録され、原則として完済から5年後に信用情報から削除されます。
ただし、信用情報機関における情報の更新状況によっては、完済から5年経ってもブラックリストから外れない可能性があります。
また、任意整理をした金融機関の社内ブラック扱いとなっている場合は半永久的にそのグループ会社の利用ができなくなる可能性もあります。
ブラックリストに載っている間は、以下の制限を受ける可能性があります。
- 新たな借入やローンの申し込みが難しくなる
- クレジットカードの作成や利用が難しくなる
- 携帯電話の分割払いが難しくなる
- 保証人になれなくなる
ブラックリストから外れ、信用を回復するには、まず小規模な契約から始め、返済を滞りなく行って信用情報を再構築しましょう。
適切な金融管理を行い、借金の再発防止に努めることも大切です。
ブラックリストを理由に任意整理に踏み切れない方もいらっしゃるかと思いますが、ブラックリストは原則として借金を完済して5年が経てば解除されるものです。
借金に苦しみ続ける終わりのない状態から抜け出すためにも、まずは弁護士に任意整理やブラックリストに関する不安を相談してみませんか。
サンク総合法律事務所では、債務整理の無料相談を受け付けています。債務整理の専門チームが真摯にお答えしますので、お気軽にご利用ください。