【任意整理の和解とは】借入れできるのは和解から5年?完済から5年?

任意整理をすると、債権者と「和解」することになります。

そもそも「和解」とはどういったことを意味するのでしょうか?任意整理をするなら和解で何を決めるのか、和解後に借入れができるようになるまでどれくらいかかるのか知りたいという方は多いでしょう。

この記事では任意整理の和解について詳しく解説します。任意整理を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

この記事の要約

  • 任意整理の和解とは、任意整理の際に債権者と話し合って合意すること
  • 和解ができるのは債務整理の中でも任意整理だけ
  • 債務整理をしたという情報が消えて再度借入れができる可能性が出てくるのは、おおむね任意整理の完済時から5年後

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 淺海 菜保子

弁護士法人サンク総合法律事務所 淺海 菜保子

任意整理の和解とは

任意整理の和解とは、任意整理の際に債権者と話し合って合意することを意味します。

いわば、話合いの中でお互いに譲り合った結果の約束です。

任意整理以外の債務整理である自己破産や個人再生では、和解はできません。

自己破産・個人再生は、裁判所に申立てを行い、それが認められれば借金が減免されるという手続きですが、任意整理では裁判所を通すことなく当事者同士が話し合って解決します。

最終的に債権者と債務者が和解すれば、返済の条件が整理されることになります。そして、その和解の内容に従って返済を行うことによって、債務者は借金問題を解決することができるのです。

そのため、任意整理の目的は、債権者との和解にあると言ってもよいでしょう。

このように、債務者は、和解で決めた条件に従って借金を返済していかなければなりません。任意整理後の支払いを継続するためにも、和解内容をしっかりと把握しておく必要があります。

任意整理の和解の内容

任意整理の和解ではどういった内容を取り決めるのでしょうか?

一般的には、以下のような内容の取決めを行い、和解書に記載するケースが多数です。

【総返済金額】

借金の総返済金額を決めます。

任意整理の和解では任意整理時に残っている元本の金額を総返済金額とし、利息は付加されない場合が多いです。

【分割払いの回数や期間】

分割払いの回数や支払いの期間も和解書に記載されます。

任意整理の場合にはだいたい36~60回払いとなり、毎月1回の返済で返済期間は3~5年となります。

【遅延損害金割合】

任意整理後の支払いを遅延した場合の遅延損害金割合も記載されます。年率14.6%などに設定される例がよくあります。

遅延損害金は「実際に発生した損害」ではなく、一般的には、「年率」による計算で算出されます。

【期限の利益喪失条項】

債務者が支払いを2か月分以上滞納すると、期限の利益を喪失して分割払いができなくなる条項を入れるのが一般的です。

これにより任意整理後の支払いを2回分以上滞納すると、そのときの残金を一括払いしなければなりません

【清算条項】

和解書に定める以外に、当事者間に債権債務関係がないことを明らかにします。

債権者が和解に応じる理由

債権者にとっては、和解に応じると従来より条件が悪化してしまう例が多数です。利息がカットされてしまいますし、支払期間が長くなるケースも多いからです。

それにもかかわらず債権者が和解に応じる理由は、債務者から任意に支払いを受けられるというところにあります。

和解しない場合、債務者が借金を支払わなくなったら債権者は裁判を起こして取立てをしなければなりません。債務者が判決に従わない場合には財産の差押えによって回収するという選択肢をとります。

ただ債務者が必ずしも支払いができる程度の財産を持っているとは限りません

差し押さえようにも財産がないというケースがよくあるため、債権者としては手間をかけても一切債権回収ができない結果に陥ってしまいます。

それよりは、元本だけでも返ってくる方が債権者にとってメリットとなります。また債務者が任意に支払うのであればわざわざ裁判を起こしたり強制執行(差押え)をしたりする手間も省けます。

以上のような事情により、従来より条件が悪くなったとしても、債権者は任意整理の和解に応じるのです。

任意整理の和解後の借入れ、何年で可能になる?

任意整理をすると、債務者は一定期間いわゆる「ブラックリスト状態」になります。

ブラックリスト状態とは、信用情報に事故情報(借金返済を一定期間以上延滞したり、債務整理をしたという情報)が登録された状態です。

ブラックリスト状態になると、一定期間ローンやクレジット、分割払いなどを利用しづらくなります

ローン会社やクレジットカード会社などは審査の際、信用情報を参照して、申込人が信用に足りるかどうかを判定します。

そのときに事故情報が登録されていると、返済を期待できないという理由で審査に通りづらくなるのです。

ブラックリスト期間は和解から5年?完済から5年?

任意整理後のブラックリスト期間は一生続くわけではありません。

信用情報の事故情報は一定期間が経過すると消去されますが、おおむね「任意整理の完済時から5年後」となります。

債権者によっては、任意整理の「和解後」5年で事故情報が削除される可能性もありますが、多くの債権者は「完済後」5年まで削除されない扱いにしていると考えられます。

事故情報が消えたかどうかの確認方法

信用情報から事故情報が消えたかどうかは、どのようにして確かめればよいのでしょうか?

これについては、信用情報機関へ情報開示請求をすればわかります。

日本では、信用情報は以下の3つの信用情報機関で管理されています。

上記のすべてにおいて、債務者本人からの情報開示請求を受け付けています。

本人であれば、窓口や郵便、インターネットなどで情報開示請求ができます。

信用情報が開示されれば、自分の情報に事故情報が残っているかどうかをチェックすることができます。

任意整理の和解後5年以上が経過して、車のローンや学資ローンなど、どうしてもローン契約を検討しなければならないときは、上記3つの信用情報機関へ事前に情報開示請求をしてみましょう。

情報開示は3つの信用情報機関全てに対して行う
信用情報機関は3つありますが、ブラックリスト状態が解消されたかどうか知りたい場合には、すべての信用情報機関へ情報開示請求をするべきです。
信用情報機関のうち1つにでも事故情報が残っていると、結局は借入れができないおそれがあるからです。

任意整理で和解するまでの流れ、期間

任意整理をしたときに和解するまでの流れや期間がどうなっているのか、みてみましょう。

STEP1 弁護士や司法書士に相談する

任意整理をするときには、まずは弁護士や司法書士に相談しましょう。自分ではスムーズに進めることが困難ですし、債権者との交渉で不利になってしまうリスクも高いからです。

STEP2 受任通知が発送される

弁護士や司法書士に任意整理を依頼すると、その専門家から受任通知が発送されます。すると、債権者からの取立てが止まります

STEP3 取引履歴を取り寄せる

弁護士や司法書士が契約開始から現在に至るまでのすべての取引履歴を取り寄せます。

STEP4 利息制限法へ基づき引き直し計算する

取り寄せた取引履歴をもとに利息制限法に基づき引き直し計算を行います。これにより、返済すべき負債の金額が確定します。

STEP5 和解案を作成・送付する

債務者側が3年から5年ほどにわたる返済計画案を作成し、債権者側へ送付します。

STEP6 条件交渉を経て合意する

債権者との間で支払条件についての交渉をします。合意ができたら和解が成立します。

STEP7 和解書を作成する

口頭の和解ではトラブルの元になるので、合意後は和解書を作成します。

STEP8 支払い開始

和解書を作成したら、翌月から支払いを開始するのが一般的です。滞納しないように最後まで継続的に支払いをしましょう。

任意整理で和解できないケースとは

任意整理をしても、すべてのケースで和解できるとは限りません。以下のような場合は和解できない可能性があります。

債権者の方針で和解に応じない

1つ目は、債権者側の方針で、債権者が和解に応じない場合です。

和解は両当事者が任意に行うものなので、強制はできません。交渉の相手が任意整理の和解に応じない方針をとっている場合は、任意整理で借金問題を解決するのが難しくなってしまいます。

収支面で返済できる見通しが立たない

2つ目に、債務者の収支の状況からして返済できないパターンがあります。

たとえば元本が500万円残っている場合、5年払いとしても月々83,333円程度は払わなければなりません。収入に対して借金の総額が大きすぎる場合には、債権者に対して「継続して返済できる」という根拠を示すことができないのです。

返済できる見通しが立たない場合には任意整理の和解はできません。個人再生や自己破産などの他の債務整理を検討しましょう。

借りてから間もない

借りてから1回も返済していない場合などには、債権者側から和解を断られるケースがあります。

任意整理する場合には最低限、1〜2回は返済をしてからのタイミングにするのがよいでしょう。

同じ債権者相手の、2回目の任意整理

同じ債権者を相手にして2回目に任意整理する場合にも、和解を断られるおそれがあります。

特に1回目の返済が途中でできなくなった場合、2回目の任意整理が難しくなる傾向があります。相手にしてみると「また同じ失敗を繰り返すのではないか?」と考えるからです。

同じ債権者相手の2回目の債務整理の場合、より慎重な対応が必要となるでしょう。

すでに差押えをされている

すでに借金を滞納して差押えを受けている場合には、和解に応じてもらえる可能性が低いといえます。

債権者にとっては、財産を差し押さえることで確実に借金を取り戻せるにも関わらず、債務者と交渉をして和解をするメリットが小さいのです。

差押えをされている状態では、和解に応じてもらえない可能性が高くなるでしょう。任意整理は借金の返済の目途が立たなくなった場合、できるだけ早めに行うのが得策です。

任意整理の和解は弁護士に依頼するのがおすすめ

任意整理後、無理なく返済できる条件での和解内容にするには、弁護士などの専門家に対応を依頼するのがよいでしょう。

自分で交渉すると、債権者から不利な条件を突きつけられるリスクが大きいからです。

任意整理の交渉を弁護士などの専門家に依頼すれば、利息をカットもしくは大幅減額してもらえる・なるべく希望に沿った返済計画にしてもらえるといった効果が望めます。

どうしても和解ができず任意整理で解決できない場合には、個人再生や自己破産などの他の債務整理も提案してもらえます。

借金問題を1人で抱え込んでいても、解決することは難しいでしょう。

借金返済にお困りの場合には、一度、任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理に力を入れている弁護士に相談してみてください。

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