
任意整理は弁護士に依頼するとスムーズに手続きを進めることができますが、相談から解決までの流れを把握しておかなければ不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、任意整理の手続きを詳しく知りたい方に向けて、弁護士に相談してから債務を完済するまでの流れを9つのステップに分けて解説します。
ステップごとに知っておくべきことや注意点を説明するので、最後までご覧いただければ任意整理についての不安は解消できることでしょう。
任意整理についての不安が解消されたら、弁護士への無料相談から手続きを始めてみてください。
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 堀川 民人
任意整理手続きの流れ
弁護士に相談してから任意整理をして借金を完済するまでの流れは、図のようになります。
任意整理は自己破産や個人再生に比べると、通常、債権者と和解して手続きが終了するまでにはそれほど時間はかかりません。
通常、弁護士に相談してから3ヶ月から半年ほどで和解が成立します。
返済開始から完済までの期間はもともとの返済条件や債務の額によって変動しますが、基本的には3~5年で完済します。
弁護士に依頼すれば和解成立までの対応を全て任せることができるため、依頼者としては手間をかけずに手続きを進めることが可能です。
STEP.1 弁護士への相談・依頼
任意整理の手続きは、弁護士への相談からスタートします。
任意整理の相談については、無料相談を実施している法律事務所が多くあります。
まずは、無料相談を実施している法律事務所に申し込みをしてみましょう。
弁護士への相談は、予約制となっているところがほとんどです。電話やメールなど、法律事務所のホームページに記載された問い合わせ方法にしたがって相談の予約をしてください。
以下では、弁護士に相談する際のポイントと、依頼する際のポイントをそれぞれ詳しく解説します。弁護士に相談する前にご確認ください。
弁護士に相談する際のポイント
弁護士に相談する際、限られた時間で状況を正確に伝えるには相談前の準備が重要です。
任意整理の相談では借金や自分の生活の状況を正確に伝える必要がありますので、借入先ごとの債務の額や返済状況、家計の収入・支出のおおまかな金額を弁護士に伝えられるようにしておくと良いでしょう(自分で予めメモをしておくと有効です)。
弁護士に相談する際には現状について隠し事をせず、月々の返済可能額などをお伝えください。
また、相談時には解決までの流れと解決までにかかる弁護士費用について必ず確認しておきましょう。
この点を確認せずに依頼すると思うような結果にならず、弁護士とのトラブルになる可能性があります。
相談をしたからと言って、必ず依頼しなければならないわけではありません。
相談した弁護士が合わないと感じたら、他の弁護士にも相談してから決めることをおすすめします。
弁護士に依頼する際のポイント
弁護士に依頼する際は、弁護士との間で「委任契約書」を取り交わします。
契約書に記載する前に、弁護士が担当する業務の範囲、解決までの流れ、費用と支払方法といった点を明確にしておくようにしてください。
金額や支払いのタイミング、支払い方法については事前にしっかり確認しておきましょう。
STEP.2 受任通知の送付
弁護士との委任契約が成立した後、弁護士は債権者に「受任通知」を送付します。
受任通知とは、弁護士が依頼者の代理人として債務整理手続きをすることになったことを知らせる書類のことです。
受任通知を送付した後は、弁護士が債権者対応の窓口となり、あなたが貸金業者とやり取りすることはなくなります。
受任通知の送付により督促や返済がストップ
弁護士が受任通知を送付すると、債権者から依頼者への取り立てがストップします。
債権者からの督促に頭を悩ませている依頼者としては、督促が止まることで安心して生活できるようになるでしょう。
受任通知は依頼後すぐに送付されるため、送付するタイミングを遅らせた方が良い事情がある場合には、依頼時に弁護士に伝えておくようにしてください。
弁護士が受任通知を送付してから債権者が受け取るまでにはタイムラグがありますので、債権者の督促がストップするまでには1週間程度かかることもあると考えておきましょう。
受任通知の送付から時間が経っても債権者からの督促が止まない場合には、弁護士に相談し、弁護士から債権者に連絡を入れてもらうようにしてください。
STEP.3 開示請求・債権額の調査
受任通知を送付する際、弁護士は債権者に対して調査票への回答と取引履歴の開示を求めます。
債権調査票と取引履歴は、現在の債務総額やこれまでの借入や返済の履歴などが記載された書類です。
債権調査票と取引履歴を確認することで、弁護士は依頼者の債務の状況を正確に把握することができるのです。
弁護士が受任通知を送付してから債権者が債権調査票や取引履歴などを返送するまでには、1~2ヶ月程度かかります。長いときには3ヶ月程度かかることもあります。
依頼した後に進展がなく、不安に感じる方もいらっしゃいますが、債権者からの返答待ちの状態なので、心配する必要はありません。
債権額が多い場合は任意整理以外を検討することも
債権調査票と取引履歴を確認した結果、依頼時に想定されていたよりも債務の額が多かった場合には、和解後の返済予想額も増えるため、終始バランス等次第では任意整理での解決が難しくなることもあります。
任意整理での解決が難しい場合には、自己破産や個人再生といった任意整理以外の債務整理を検討します。
STEP.4 引き直し計算(過払い金の確認)
弁護士が債権者から送付された取引履歴を確認する際には、引き直し計算を行って過払い金の有無を確かめます。
引き直し計算とは、過去の返済履歴を、利息制限法の上限利率に従って利息の支払をしていたと仮定して計算し直すことを言います。
現在の利息制限法では利息の上限が借金の額に応じて15~20%に設定されていますが、一方で出資法という法律でも上限金利が定められており、現在では貸金業者の貸付については20%が上限金利ですが、2010年6月18日より前は29.2%が上限金利でした。
そのため、多くの貸金業者は、この29.2%までの金利で貸し付けても犯罪とならないことをいいことに、利息制限法を超過した高い利息を受け取っていたのです。
引き直し計算では、このような利息制限法を超過した利息の支払いを元本に充当するなどして再計算します。
過払い金により借金減額、完済できることも
引き直し計算の結果、過去に払い過ぎがあったことが分かれば、任意整理手続を進める中で、現在残っている借金の額を減らすことや、過払金を返還することを債権者に求めることになります。
消滅時効などの問題もあるので、払い過ぎがあれば必ず減額・返金がある、とは言えませんが、2007年前後頃から長く借金生活を送っていた方は、過払い金が発生している可能性がありますので、弁護士に相談してみましょう。
STEP.5 和解案(返済計画)の作成
債権額の調査と引き直し計算を終えると、おおむね、債権者に返すべき借金の額が決まってきます。借金の金額が確定します。
そこで、債権者と和解交渉するための和解案を作ることになります。
この和解案の本体は、「将来にわたり合計でいくら返済するか」「その合計額を何ヶ月(計何回)かけて返済するか」「その結果、毎月いくら返済することになるか」です。
もちろん、あくまで和解案は債権者に提案する内容に過ぎません。
後述のように、債権者と交渉し、債権者も債務者も両方納得したら、上記の3つが確定します。
和解案を確認する際のポイント
和解案を確認する際は、返済開始日と月々の返済額、完済予定日を確認し、返済可能な条件となっているかを十分に検討するようにしてください。
せっかく任意整理を行っても、計画通りの返済ができなければ借金の完済ができずに無意味なものとなってしまいます。
返済条件に不安がある場合には、弁護士とよく協議しましょう。
万が一の場合に備えて、計画通りの返済ができなかった場合にどうなるのかも確認してください。
任意整理の和解案では返済を2回以上怠ったときにペナルティを受ける内容になっていることが多いのですが、そのペナルティの内容も確認しておきましょう。
STEP.6 和解交渉
和解案の作成と確認が済んだら、弁護士は債権者との交渉を行います。 和解交渉は、スムーズに進めば1週間程度でまとまります。
交渉が難航すると数ヶ月かかる場合もあります。
また、債権者との交渉内容によっては、和解案どおりの条件で和解できるとは限らず、条件が変わることもあります。
和解交渉に時間がかかって不安な場合には、弁護士に状況を確認するようにしてください。
なお、たとえば月の返済額について債権者と合意できない場合、破産など他の手続を検討することもあります。
以下では、和解交渉についてより詳しく理解するため、和解交渉で弁護士と債権者が話し合う内容と和解交渉が難航するケースについて解説します。
和解交渉で弁護士と債権者が話し合うこと
和解交渉では、返済総額と返済期間が重要な争点となります。
返済総額で問題となるのは、完済までに発生する利息と滞納により発生した遅延損害金の取り扱いです。
弁護士としては、利息と遅延損害金、両方の免除を目指して債権者との交渉を行います。
返済期間については、月々の返済額を少なくし、できる限り長期の分割となるように交渉が進められます。
返済総額にもよりますが、完済まで3年から5年の分割払いとすることが多いです。
そのほか、滞納をしてしまった場合の期限の利益喪失約款や遅延損害金の取り扱いについても交渉によって決定されます。
期限の利益喪失約款とは、債務者が返済の滞納をしたときに債権者が残額を一括請求するための条件を定めるものです。
具体的には、債務者が返済を2回滞納したときに債権者は残額を一括請求できる、という条件を定めることが多いです。
和解交渉が難航することがあるケース
次のようなケースには、和解交渉が難航してまとまらないことがあります。
収入が高い、高い財産を持っている
任意整理は、基本的に現在の契約状況よりも、債権者にとって不利になるものです。
収入が低くて借金の返済が難しいなどの事情を考慮して応じてくれるものなので、返済が余裕である場合には任意整理に応じてくれ難くなります。
任意整理を申し込むまでの返済実績が少ない
お金を借りてからすぐに任意整理を申し込んだ場合には、交渉に応じてくれない可能性が高くなります。
債権者としては、債務者の返済実績が少ないと任意整理をした後の返済能力に不安を感じてしまうでしょう。
また、お金を借りるときから任意整理するつもりであったと疑われることもあります。
交渉に応じてくれるとしても、3年以上の長期での分割返済計画には応じてくれないこともあり得ます。
借金に担保がついている
借金に抵当権や保証人などの担保があるケースでは、任意交渉に応じてくれない可能性が高いでしょう。
担保がある場合、債権者としては担保から債権を回収できるため、任意整理に応じる必要性がないというのがその理由です。
貸金業者の方針で任意整理に応じない
金融機関によっては、任意整理に応じない方針を取っているところもあります。
任意整理には交渉に応じさせる強制力はないため、相手が交渉に応じてくれなければ任意整理を行うことはできません。
STEP.7 和解成立・和解書の作成
債権者との交渉で条件面での合意ができると和解が成立し、和解が成立した後は合意した内容で和解書を作成します。
和解の成立から和解書の取り交わしまでにかかる期間は1週間ほどです。
弁護士に依頼して任意整理をすれば、ご自身で和解書を作成することはありませんが、和解前に和解書の内容を必ずご確認ください。
返済総額や返済期間について、和解案を作成した時と変更点はないか、変更された後の条件でも問題がないかをしっかりと確認しましょう。
期限の利益喪失約款や遅延損害金の取り扱いについても、交渉で決定された内容が反映されているのかをチェックしてください。
確認せずに和解書を取り交わしてしまうと、条件に勘違いがあったとしても変更できない可能性が高いのでご注意ください。
STEP.8 和解内容に基づいて返済開始
和解書の取り交わしが済んだら、和解内容に基づいて返済を開始します。 任意整理を行っても、完済までたどり着かなければ意味がありません。
任意整理の返済について注意すべきポイントは、次の4つです。
- 返済は3年~5年をかけて行う
- 返済忘れや滞納には注意
- 返済中は生活を立て直す期間にあてよう
- どうしても返済が厳しくなったら弁護士に相談
以下でそれぞれのポイントについて詳しく解説します。
返済は3年~5年をかけて行う
任意整理の返済は、通常、3年~5年かけて行います。
安定して返済を続けるには、病気や転職による収入の減少にも注意しなければなりません。
返済期間中は体調管理にも気を使い、安易に転職することなく地道に働き続けることが大事です。
病気などに備えて貯金をするのも良いでしょう。
返済忘れや滞納には注意
返済忘れや滞納をすると、一括請求を受ける可能性があります。
任意整理の和解書には期限の利益喪失約款が規定されていますが、多くの場合、1度の返済忘れや数日の滞納では期限の利益を失うことはありません。
しかし、交渉の結果、返済日に1度でも遅れたら期限の利益を喪失するという内容で和解しているケースもあり得ます。
自分の和解書では、どのような内容になっているのかを確認して、返済忘れや滞納による一括請求には十分に注意してください。
返済中は生活を立て直す期間にあてる
任意整理の返済中は、新たな借金やクレジットカードの利用ができなくなることがほとんどです。
そのような状態で、月々の返済にあてるお金も用意しなくてはなりません。
これまで借金やクレジットカードに頼る生活をしてきた人にとっては、返済期間中の生活が辛く感じることもあるでしょう。
しかし、完済後に再び任意整理が必要な状況に陥らないためには、返済期間中に生活を立て直しておくことが重要です。
返済期間中に後金やクレジットカードに頼らない堅実な暮らしに慣れておけば、返済が終わった後も安定した生活を続けることができるでしょう。
どうしても返済が厳しくなったら弁護士に相談
どうしても返済が厳しくなった場合は、早めに弁護士に相談してください。
早めに相談をすれば、同じ債権者との間で改めて任意整理を行える可能性もあります。もっとも、一度失敗すると、改めて任意整理に応じてくれるとしても条件は厳しいものとなるでしょう。
返済が厳しく改善の見込みがない場合には、弁護士と話し合って自己破産や個人再生など他の債務整理手続きについても検討する必要があります。
STEP.9 完済
和解書に記載された条件での返済を完了すると、借金はなくなります。
完済すると、債権者や弁護士とのやり取りも終了します。
完済後も、しばらくはクレジットカードの作成や新たな借金はできない状況が続きます。
一定の期間が経過して再びカードの利用や借金ができるようになっても、再び借金で苦しむことのないよう、クレジットカードの過度な利用や返済に腐心するような額の借金は控えた方が良いでしょう。
まとめ
任意整理は、スムーズに手続きが進めば3ヶ月から半年ほどで和解が成立します。
弁護士に手続きを依頼すると、和解案の作成や債権者との交渉など手間のかかる手続きを全て弁護士がやってくれるため、依頼者自身の手間をかけることなく手続きを進められます。
弁護士に手続きを依頼する場合には、こちらの記事に記載された内容さえ理解していれば、問題なく任意整理を行えるでしょう。
任意整理をスムーズに進めるには、弁護士との相性も重要です。
信頼できる弁護士を探すために、まずは無料相談の申し込みから始めてみてはいかがでしょうか。