「車のローン支払いが遅れている」「今後支払えなくなりそう」
このような場合、使用している車がどうなってしまうのか、今後支払いを無理なく継続するにはどうしたらいいのか、不安なことや疑問に思うことが多いでしょう。
今回は、車のローンを滞納したらどうなるのか(滞納後の流れ)、車のローン支払いが厳しい場合の対処法などを解説します。
- 車のローンを滞納し督促を無視していると、2~3ヶ月後には車が引き上げられるかローン残債を一括請求されることがある
- 車のローン支払いがきつい場合は、借換え・返済期間延長の交渉・車の売却などの他に、任意整理を検討する選択肢がある
- 車以外の借金返済を楽にしたい場合や、車のローン支払いを滞納している場合は、なるべく早く弁護士に相談しよう
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 淺海 菜保子
車のローンを滞納したらどうなる?
結論から言うと、車のローンを滞納するとその車自体を引き上げられたり、ローン残債を一括で請求されたりする可能性が高くなります。
車のローンを滞納するとどうなるかについては、所有権留保が大きく関係します。
ローンの支払いを滞納したらローン会社が所有権にもとづいて車を引き上げる仕組みと理解しましょう。このようにして、ローン会社は滞納のリスクを防いでいるのです。
所有権留保があるかどうかは、普通車の場合は車検証の「所有者名」や「使用者名」の部分を見ると分かります。
所有者名が信販会社(オリコなど)の債権者名になっていたら、所有権留保があるということになります。一方、所有者名が自分自身であれば、残ローンがあっても所有権留保はありません。
車のローン滞納で発生するデメリット
車のローンを滞納すると、車が引き上げられたり残債を一括請求される他にも、以下のようなデメリットが発生します。
ブラックリスト状態になる
車のローンの支払いを頻繁に延滞したり、長期間滞納したりすると、その事実が信用情報機関に事故情報として残ります。
信用情報に事故情報があると、その期間は新たに別のローンを組んだり、クレジットカードを作成したりすることが難しくなります。
この状態を俗にブラックリスト状態といいます。
信用情報機関に事故情報が掲載される期間は、金融機関や滞納状況などによって異なりますが、一般的には1度掲載された情報は5〜10年ほど消えないことが多いです。
遅延損害金が発生する
遅延損害金は、借金返済が遅れた際の罰金のようなもので、決められた支払い期日を1日でも過ぎると日割りで発生していきます。
遅延損害金の割合は、ローンを組んでいる銀行や信販会社によって異なりますが、もともとの利率より大きい場合がほとんどです。
裁判を起こされることがある
車のローンの支払いを滞納し、督促も無視し続けていると、債権者から裁判を起こされることがあります。
特に所有権留保がない場合は、債務者がローン支払いを滞納しても、債権者は車を引き上げ売却することができないため、債権者は裁判を起こしてローン残債を確実に返済してもらおうとします。
裁判が起こると、最終的に給与や車・住宅などの財産を差し押さえられるリスクがありますので注意が必要です。
裁判所からの書類が届いたがどう対応したら良いかわからないと言う場合は、弁護士に相談してみましょう。
車のローン滞納後の流れ
車のローンを滞納してからの流れは、所有権留保があるかどうかによって異なります。
今回は、残高不足でローン引き落としができなかった(滞納してしまった)ケースにおいて、所有権留保がある場合とない場合それぞれの一般的な流れをご紹介します。
【所有権留保がある場合】
| 滞納から数日後 | 振込用紙が届く |
| 滞納後、はじめの督促を無視してから1~2か月後 | 督促のハガキや電話がくる。無視していると職場や保証人に対して連絡が来ることもある。 |
| 滞納後、はじめの督促を無視してから2~3か月後 | 車の引き上げ |
| その後 | 車の売却額がローン残債に満たなかった場合は、足りない分の金額を一括請求される |
【所有権留保がない場合】
| 滞納から数日後 | 振込用紙が届く |
| 滞納後、はじめの督促を無視してから1~2か月後 | 督促のハガキや電話がくる。無視していると職場や保証人に対して連絡が来ることもある。 |
| 滞納後、はじめの督促を無視してから2~3か月後 | ローン残債の一括請求 |
所有権留保がなければ2~3ヶ月滞納したとしても車の引き上げはありません。しかし、その後債権者が裁判を起こした場合には、車などの財産が差し押さえられる可能性があります。
このように、所有権留保のあるなしに関わらず、車のローンを滞納すると大きなリスクが発生します。
車のローンを滞納!所有権留保がない場合は任意整理を検討しよう
所有権留保がない場合、車のローンを滞納し続けると残債を一括請求されます。ローン残債を一括ではとても支払えない、という方は多いでしょう。
では、財産は手元に残したままローンの一括請求を分割にしてもらう方法はあるのでしょうか?
この場合は任意整理を検討しましょう。
任意整理とは、債権者と交渉して将来利息をカットもしくは大幅減額してもらったり、返済計画を長期にしてもらったりすることで、返済の負担を軽くする手続きです。一括請求されている場合にも、分割払いにしてもらえるというメリットもあります。
個人でも任意整理の交渉をすることは可能ですが、弁護士に依頼して対応してもらうと、債権者が交渉により良い条件で応じてくれる可能性が高くなります。
車のローンであっても、オリコやアプラスなど一般的な信販会社であれば、任意整理の交渉自体はほとんどの場合問題なく対応してもらえます。
さらに、任意整理の場合、債務者(借主)にどのくらい財産があるかは全く問題にならないため、手続きを行ったからといって車や住宅などの財産を手放す必要はありません。
ただし、所有権留保のある車のローンを任意整理の対象にしてしまうと、所有権留保をもとに車が引き上げられてしまうので、所有権留保のない車のローンについてのみ「財産は手元に残したまま、ローンの支払いを楽な条件にしてもらう」という効果が期待できます。
車のローン支払いがきつい場合の対処法
「車には乗り続けたいが、車のローン支払いがきつい…」このような場合の対処法をいくつかご紹介します。
車のローンを借換えする
車のローンの支払いがきつい場合、別のローン会社に借換えするという選択肢があります。
この場合の借換えとは、新たに銀行や信販会社などでローンを組み直し、現在のローンを一括で返済することを意味します。
借換えを行うことによって、返済期間が延長され月々の返済額が減るというメリットがありますが、その分金利の負担が増え、支払う総額が増えるというリスクもあります。
現在のローン会社と交渉し、返済期間を延長する
車のローンの支払いが苦しい場合、交渉をすればローン会社が返済期間延長の交渉に応じてくれる場合があります。
ただし、一般的な傾向としては、「今まで通りの支払いを続けられない相当の事情」がなければ認められません。
車の売却や、中古車への乗り換えを検討する
一時的でなく長期的に車のローンを支払っていく目処が立たないという場合は、車を手放すのがもっとも現実的な方法と言えます。
しかし、生活していくのにどうしても車が必要な方もおられるでしょう。
この場合、現在の車を売却して益が出るようであれば、その金額と貯金などを合わせて中古車を一括購入できないか検討してみましょう。そのようにできれば、車のローン支払いからは解放されます。
ただし、所有権留保がある場合はその車を勝手に売却することができませんので、まずは所有者に相談してみましょう。
車のローン以外の借金を任意整理する
車のローン以外にも借金返済があり、苦しい思いをしている場合は、任意整理を検討することをおすすめします。任意整理は先述したとおり、債権者と交渉して借金返済の負担を軽くする手続きです。
所有権留保がある車のローンを任意整理の対象にすると、基本的には車が引き上げになります。
しかし、任意整理の大きなメリットのひとつとして『対象にする債権者を選べる』と言うものがあります。
たとえば、
- 銀行A社
- 消費者金融B社
- 車のローンC社(所有権留保つきの車)
上記の3社から借金がある場合、C社のみそのまま返済を続け、A社・B社は弁護士に任意整理を依頼するということができるのです。
そうすることによって、車はこれまで通りローンを支払いながら乗り続け、さらにその他の借金の支払いが楽にできる生活を目指せます。
任意整理には、完済後5年間ほどブラックリスト状態になるというデメリットがあります。自分にとってどの方法が最善か、よく検討してみましょう。
車のローン支払いが苦しい…弁護士に相談した方がいいのはどんな時?
車のローン支払いが苦しい時、弁護士に相談した方が良いのは主に下記のようなケースです。
車のローン以外の借金の月返済額が減れば、生活が楽になることが見込める
この場合は車のローン以外の借金を任意整理できるか、弁護士に相談しましょう。車を手放すことなく、それ以外の借金の返済負担が軽くなる場合があります。
車のローンを滞納して一括請求が来た
一括請求が来た、もしくはその後裁判所からの書類が届いたなどの場合は、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
そこまで督促を無視していたのであれば、改めて個人で債権者に分割払いの交渉をしても聞き入れてもらえない可能性がありますが、弁護士が法的な任意整理手続きとして分割交渉を行えばほとんどの場合応じてもらえます。
もしくは、収入に対して借金総額が多過ぎる・収入が見込めないなど、分割でも支払いを続けていけない事情がある場合は、自己破産など他の手続きを一緒に検討してもらえます。
弁護士に相談することによって、収支状況や他の債務状況から、何の手続きを行えば良いのかが明確になるのです。
滞納が続けば続くほど遅延損害金がかさみ、裁判手続きに進行するリスクも高くなっていきます。お悩みの場合はなるべく早く、弁護士に相談しましょう。
まとめ
車のローンを滞納し督促を無視していると、2~3ヶ月後には車が引き上げられるかローン残債を一括請求されることがあります。
車のローン支払いがきつい場合は、借換え・返済期間延長の交渉・車の売却などの他に、任意整理を検討する選択肢があります。
車以外の借金返済を楽にしたい場合や、車のローン支払いを滞納している場合は、なるべく早く弁護士に相談しましょう。