自己破産すると兄弟に影響するのか|迷惑をかけないために必要な知識を解説

兄弟姉妹が自己破産をした場合、自分に影響があるかどうか心配する方もいらっしゃるかと思います。

基本的には兄弟姉妹が自己破産をしても、家族には影響がありません。ただし、特定の状況下では影響が生じる場合もあります。

どのような条件が揃うと兄弟姉妹の自己破産によって影響が生じるのか、またどのような影響があるのかを詳しく説明します。

さらに、対策についてもまとめていますので、兄弟姉妹がいる方はぜひ参考にしてください。

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 中島 大地

弁護士法人サンク総合法律事務所 中島 大地

自己破産しても兄弟に影響は基本的にない

自己破産をすると、債務の返済義務が免除される代わりに、本人名義の財産が処分され、信用情報機関に登録されるため、クレジットカードが利用できなくなったり、ローンが組めなくなるなどの影響があります。

兄弟姉妹が自己破産をした場合、家族にも何かしらの制限・影響があると考えるかもしれませんが、自己破産によって制限を受けるのはあくまで本人です。

家族が影響を受けるケースは基本的にはありません。

ただし、後述するように、特定の条件が揃うと、兄弟姉妹の自己破産によって影響が生じる可能性があります。

兄弟に自己破産の影響が及ぶケース

兄弟姉妹の自己破産によって家族に影響が生じる可能性があるケースとしては、以下のような場合が考えられます。

  • 兄弟姉妹の連帯保証人になっているケース
  • 兄弟姉妹名義の家に住んでいるケース
  • 兄弟姉妹名義の車を利用しているケース
  • 兄弟姉妹にお金を貸しているケース

ここでは、それぞれのケースについて詳しく説明します。

連帯保証人になっているケース

自己破産によって消滅するのは破産者本人の返済義務であり、債務そのものではありません。

破産をした後は連帯保証人が返済義務を負うことになるため、債権者(銀行や消費者金融など)は保証人にその返済を求めます。

そのため、兄弟姉妹が借金の連帯保証人になっている場合、家族である兄弟姉妹が借金を代わりに返済する義務が発生します。

また、債務者が自己破産した場合、債権者は保証人に対して一括返済を求めることが一般的です。

交渉次第では分割払いが認められる可能性もありますが、交渉に失敗すれば、債務を返済しきれず兄弟姉妹も共に自己破産するリスクがあります。

兄弟姉妹の連帯保証人になっている場合、自己破産の前に弁護士などの専門家に相談し、適切な対処ができるように準備することが必要です。

破産者名義の家に同居しているケース

自己破産が成立すると、債務者名義の資産のうち、家や土地、自動車、バイク、証券、美術品など、20万円以上の価値を持つものは、特定の例外を除きすべて処分対象となります。

したがって、兄弟姉妹名義の家に住んでいる場合、転居しなければなりません。

破産から転居までの猶予は通常半年程度ですが、買い手がなかなか見つからない場合には、1年ほど猶予があることもあります。

その間は住み続けることができますが、裁判所の執行官や購入を検討している業者が定期的に訪れるため、落ち着いた生活が難しくなるでしょう。

破産者名義の車を使用しているケース

前述のとおり、自己破産をすると20万円以上の価値を持つ資産はすべて処分の対象となります。

そのため、兄弟姉妹名義の自動車やバイクを使用していた場合は使えなくなってしまいます。

公共交通機関が不便な地域に住んでおり、兄弟姉妹のバイクや自動車を生活の足として利用している場合、影響が出るでしょう。

また、自己破産による処分は破産者本人の財産に限られるからといって、破産成立前に自動車やバイクの名義を変更する行為は絶対に避けるべきです。

財産を意図的に隠したと見なされ、免責不許可事由として債務の返済義務の免除が認められない可能性があるほか、最悪の場合には詐欺破産罪として10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、場合によってはその両方が科される可能性があります。

参考:e-Gov法令検索|破産法https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000075

破産者にお金を貸していたケース

自己破産をすると、債務の返済義務がなくなるため、兄弟姉妹に貸していたお金を回収できなくなります。

貸していたお金が少額であれば影響は少ないものの、大金の返済を見込んで生活を計画していた場合には、支障が出る可能性もあります。

また、事前の相談なしで兄弟姉妹が自己破産をした場合、トラブルに発展するリスクがあります。

兄弟姉妹が金銭的なトラブルを抱えている場合、日頃から話し合いの機会を設けるよう心がけましょう。

兄弟に迷惑をかけたくない場合は他の選択肢もある

前述のように、兄弟姉妹名義の住宅に住んでいたり、お金の貸し借りがある場合、家族に影響が生じることがあります。

兄弟姉妹に迷惑がかかることを恐れて自己破産に踏み切れない場合は、他の選択肢も検討しましょう。

自己破産以外の方法として、以下の2つの手段があります。

  • 任意整理
  • 個人再生

以下で任意整理と個人再生、それぞれのメリットについて詳しく説明します。

任意整理で手続きをする借金を選べば影響を抑えることができる

任意整理とは、裁判所を介さずに弁護士が債権者と直接交渉し、利息や遅延損害金をカットした上で、元本を3~5年で返済できるようにする手続きです。

任意整理が成立すれば、「月々の返済では元本がなかなか減らない…」という状況を解決できます。

任意整理では、整理したい債務を自由に選ぶことができるため、家や車のローンを整理の対象から外せば、家や車を手元に残しつつ借金の減額が可能です。

また、兄弟姉妹が連帯保証人となっている債務を整理の対象から外せば、兄弟姉妹が受ける影響を最小限に抑えることができます。

個人再生では車や家を残して借金を減額できる

個人再生とは、債務の総額を最大で1/10程度に減額し、残った分を原則3年(最長5年)で返済するための手続きです。

個人再生では、ローンを完済している車は手元に残すことができ、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用すれば、債務整理後も住み慣れた家に住み続けることができます。

債務額が大きく、総額を全て返済するのが現実的に難しい場合でも、家や車を手放すと家族に迷惑がかかる場合に適した方法です。

個人再生を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されるため、クレジットカードの利用やローンの新規契約などができなくなります。
また、個人再生を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 債務の総額が100万円〜5,000万円
  • 安定した収入があり、整理後の債務を3〜5年で返済することができる

兄弟に優先して借金を返済しないこと

自己破産では、「免責不許可事由」として、債務の返済義務の免責を裁判所が認めない場合があります。

例えば、自宅の名義を無断で変更したり、高級車などを相場価格よりも安価に知人や家族に売却したりする行為が該当します。

また、免責不許可事由として注意すべきなのは、自己破産が成立する前に家族や知人からの借金を優先的に返済する行為も該当する点です。

偏頗弁済(返済が困難な状態で特定の債権者にのみ返済すること)があると、債務の返済義務の免責が取り消されるリスクがあります。

仮に自己破産が認められた場合でも、管財人が偏頗返済分を回収するために管財事件として扱われ、裁判所に予納金(一般的には20万円)を収めることが必要になります。

家族に迷惑をかけないよう、優先的に返済したり、兄弟姉妹が自己破産をするからといって優先的に返して欲しいと頼んだりしないようにしましょう。

まとめ

兄弟姉妹が自己破産をしても、クレジットカードが使えなくなったり、ローンの審査が通らなくなったりなど、家族への影響は基本的にありません。

ただし、兄弟姉妹が保証人になっている場合や、兄弟姉妹名義の車や家を利用している場合には、影響が出る可能性があります。

兄弟姉妹に影響が出る条件に当てはまり、家族に迷惑をかけたくない場合は、自己破産以外の任意整理や個人再生を検討しましょう。

自身が影響を受ける場合には、兄弟姉妹に別の方法があると教えることも必要です。

しかし、どの手段を取る場合でも、自分での手続きは難しいため、弁護士などの専門家と相談し、適切な対応を取るようにしましょう。

上部へスクロール