
借金を減らすには、借り換え、収入を増やす、債務整理などの方法があります。
すでに返済が苦しいかた、完済の目処が立っていない方は、債務整理で借金を減らすことをおすすめします。
ここでは、借金問題の解決に取り組む弁護士が、借金を減らしたい方に向けて債務整理の特徴や種類を紹介します。
- 債務整理で借金を減らしたり返済を免除されたりできる
- 過払い金請求で払い過ぎたお金が戻ることもある
- 任意整理は債権者と話し合い、利息のカットをしてもらう
- 財産を守りながら借金を減らしたいなら個人再生がおすすめ
- 多少の借金減額では解決できない方や借金額を0にしたいなら自己破産がおすすめ
- 最適な手続きについては、弁護士などの専門家に相談する
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 淺海 菜保子
借金を減らしたい方におすすめなのは債務整理
債務整理とは、法的に借金を減らしたり免除してもらったりする手続きの総称です。
複数の手続きがあり、借金の状況や現在の収入、保有する財産によって、適した方法を選択する必要があります。
債務整理の種類は主に以下のとおりです。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
弁護士などに相談して自分の状況に合った債務整理を選択することで、多くのケースでは、借金トラブルを解決できます。
現在、借金を減らせなくて困っている方も諦める必要はありません。
まずは過払い金が見込めるかチェック
過払い金が発生している方は、過払い金で借金を減らせることもあります。
過払い金とは、利息制限法を超過して、本来支払うべき金額以上に支払ったお金のことです。
発生している過払い金は借金減額に充てることができ、残債より過払い返還金が多い場合は借金がゼロになって、差額が手元に入ってくる可能性もあります。
その払い過ぎたお金を取り戻すための手続きを「過払い金請求」といいます。
過払い金を請求して返還してもらえる可能性が高いのは、以下のケースです。
おおむね2008年頃以前にクレジットカードのキャッシングや消費者金融などを利用しており、現在も返済中、もしくは完済してから10年以内 ※クレジットカードのショッピングや、住宅ローン・不動産担保ローン、奨学金などは対象になりません
この条件に当てはまり過払い金が見込めそうな方は、お早めに弁護士などの専門家に相談してみましょう。
過払い金請求は、引き直し計算や債権者(借金の貸主)との交渉などを行う必要があり、個人の方だけで対応するにはハードルの高い手続きです。
過払い金請求の注意点:元本が消滅せずに借金が残る場合にはブラックリスト状態になる
返済中の借金について過払い金請求を行う際、借入元本が大きい場合や制限利率を超過して支払った利息の金額が少ないと、元本が消滅せずに残ることがあります。
この場合には、いわゆる「ブラックリスト状態」となり、各種ローンやクレジットカードを一定期間利用することが難しくなります。
過去に完済した借金についてのみ過払い金請求をする際は、ブラックリスト状態になる心配はありません。
周囲に知られずに、利率の高い借金を減らしたいなら任意整理
任意整理とは、債権者と交渉をして借金の支払い額や返済方法を決め直す手続きです。
裁判所ではなく、債権者と直接話し合い、合意した金額を3~5年程度の分割で返済できるように交渉します。
基本的には「和解後の利息」がカットもしくは大幅減額される方法で、元金(利息以外の借入れ金額)までは減りません。
とはいえ、「利息が高くてなかなか借金が減らない」「月々の返済が苦しく最低返済額にしているため、利息ばかり支払っている」という状態の方にとってはメリットが非常に大きいでしょう。
たとえば、100万円の借金があり、年率15%で返済期間が7年の場合、通常どおり支払っていくと毎月の返済額は19,296円で、将来利息の総額は620,864円です。
任意整理をして将来利息がカットになった場合、まず利息の620,864円を支払う必要がなくなります。毎月の返済額に利息分が含まれていないので、借金が目に見えて減っていきます。
返済期間は債権者との交渉結果次第ですが、もし4年で返済していくことになれば、月の返済額は20,833円となり、それまでの返済額と大きな差はありません。毎月の返済額がそれほど変わらず、返済期間が3年も短くなるのです。
また状況によっては、任意整理をすることで毎月の返済額が下がり、支払いが楽になるケースもあります。
自己破産などに比べて比較的手間がかからず、裁判所を通じて行わないため家族など周囲の人に内緒にできるケースも多いです。
上記を理由に、任意整理は債務整理の中で最も選ばれることの多い手続きとなっています。
任意整理のメリット
必要書類が比較的少なく、他の方法に比べて手続きが簡単
任意整理以外の債務整理手続きは裁判所を利用するため、事前に集める必要書類が多く、負担が大きいと感じる方もおられます。
一方、任意整理は裁判所を利用しないので、手続きが比較的簡単です。
周囲に知られにくい
任意整理は裁判所を利用しないこともあり、他の手続きに比べて周囲に知られにくい手続きです。
個人再生や自己破産と違い、官報公告も行われないので「もし周囲の人が官報を見て、自分が債務整理をしたことを知られてしまったら……」と不安に思う必要もありません。
官報公告…政府が発行している官報という機関誌に個人再生や自己破産などの債務整理情報が掲載されること
財産がなくならない
任意整理をしても、現在の手持ち財産には一切影響がありません。基本的には預金も自宅も車も保険も、すべて維持したまま借金返済を楽にするための手続きができます。
任意整理のデメリット
任意整理には以下のようなデメリットもあります。
減額率が低い
任意整理で減額できるのは、通常「利息」や「遅延損害金」の部分のみであり、元本まではカットできません。
借入残高はそのまま残るため、元本の返済すら難しい方にとっては、任意整理は借金問題の根本的な解決方法にはなりにくいでしょう。
話し合いに応じない債権者もいる
任意整理はあくまで債権者との話し合いで借金を減らす方法なので、相手が応じてくれないと進められません。
交渉できなかったり話し合いが決裂したりすると、任意整理を進めることはできず、借金問題を解決することはできません。
ブラックリスト状態になる
任意整理をすると信用情報に事故情報が登録され、いわゆるブラックリスト状態になります。
ブラックリスト状態になると、ローンやクレジットカードの審査に一定期間通りづらくなるといった不便な点があります。
財産を守りながら借金を減らしたいなら個人再生
個人再生とは、裁判所へ申し立てて、借金を法的に大幅に減額してもらう手続きです。
利息や遅延損害金だけではなく元本部分まで大きく減らしてもらえる点が、任意整理と大きく異なります。
個別の事情によって異なりますが、一般的には減額率はもともとの借金額のおよそ5分の1~10分の1にもなります。
個人再生のメリット
個人再生のメリットをみてみましょう。
借金を大きく減額できる
個人再生の大きなメリットは、借金を大幅に減らせることです。
【最低弁済額の表】
| 借金額 | 減額率 |
| 100万円未満 | そのまま残る |
| 100万円以上500万円以下 | 100万円へ減額 |
| 500万円を超えて1,500万円以下 | 5分の1へ減額 |
| 1,500万円を超えて3,000万円以下 | 300万円へ減額 |
| 3,000万円を超えて5,000万円以下 | 10分の1へ減額 |
特に財産のない方の場合、上記の表の金額まで借金を減らせる可能性があります。
財産がなくならない
個人再生をしても財産はなくなりません。預貯金や保険、車などの財産を維持できます。
ただし高額な資産があると返済額が高くなってしまうおそれがあります。
住宅ローン特則を利用できる
個人再生には「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という特則があり、住宅ローンつきの家を守りやすくなっています。
住宅資金特別条項つきの個人再生が成功すれば、住宅ローンだけはそのまま返済を続け、他の借金のみ減額してもらえます。
個人再生のデメリット
個人再生には以下のようなデメリットもあります。
収入要件が厳しい
個人再生後は減額された借金を確実に返済しなければなりません。そのため、裁判所から「返済能力が本当にあるのか」という点についての厳しい審査を受けることになります。
家族に内緒で手続きをすることが難しい
個人再生では、家族全体の家計表や、家族の収入を証明する書類(源泉徴収、確定申告書の控えなど)を裁判所に提出する必要があります。
また、家族が保証人となっている借金を個人再生する場合、その借金について保証人に一括請求がきてしまいます。
さらに、個人再生をするとクレジットカードの家族カードも止められます。
このような理由から、家族に内緒で自分だけで個人再生の手続きを進めることは、不可能ではありませんが難しいといえます。
費用が高くなるケースがある
任意整理や同時廃止の自己破産(比較的簡易な自己破産手続き)と比べると費用が高くなるケースが多数です。
官報に載る
個人再生をすると、官報に氏名や住所、個人再生開始決定があったことなどが掲載されます。
官報は政府が毎日発行している新聞のような機関誌で、インターネットや図書館などで見ようと思えば誰でも見られます。
ただ、実際は一般の人が官報を目にする機会はほとんどないといってよい状況です。
ブラックリスト状態になる
個人再生をした場合にも、いわゆるブラックリスト状態になります。
借金をゼロにしたいなら自己破産
任意整理や個人再生で借金を減らしても解決できない場合には、自己破産を検討しましょう。
自己破産は、裁判所へ申し立てて破産法を適用してもらい、税金など一部を除いた負債をゼロに(免除)してもらう手続きです。
自己破産のメリット
自己破産には以下のようなメリットがあります。
税金などを除き、基本的にすべての借金がなくなる
自己破産の一番のメリットは「税金などの一部のものを除いて、すべての借金がなくなること」といえるでしょう。
【自己破産で0になる借入れの一例】
- 消費者金融、カードローン、クレジットカード
- 奨学金
- 車のローン
- 住宅ローン
- 教育ローン
- 事業用ローン
借金以外の未払い家賃や通信料金、連帯保証債務なども免除対象です。税金や保険料、養育費などの一部の支払いのみ残ります。
収入がなくても利用できる
自己破産をすると債務の返済が一切不要となるので、収入が0円でも利用できます。
一方、個人再生では比較的厳しく収入要件を審査されますし、任意整理でも最低限の収入が必要です。借金額に対して収入が少なすぎる・無職であるなどの理由でこれらの手続きが難しい方は、自己破産を検討しましょう。
限度額がない
自己破産には限度額がありません。どんなに高額な借金があっても、免責がおりれば全額免除してもらえます。
自己破産のデメリット
自己破産のデメリットの主なものは以下のとおりです。
一定額以上の財産がなくなる
自己破産すると、一定額以上の財産が失われます。
ただし生活に必要な最低限の資産(たとえば現金なら99万円まで)を残せるのですべてを失うわけではありません。
自己破産したら急に生活できなくなるわけではないので安心しましょう。
資格制限がある
自己破産すると、一定の資格や職業が制限されるので、対象となる仕事をしている方は停止しなければなりません。
ただし免責がおりればまた元の仕事に戻れますし、そもそも制限されない仕事の方が多いです。
必要書類が多い
自己破産の必要書類は多いので、集めるのに手間取る傾向があります。
もっとも、必要とされる書類は一般的には十分収集が可能なものとなりますので、きちんと弁護士の指示に従って集めましょう。
管財事件になると負担が重くなる
自己破産の中でも複雑な「管財事件」になると、費用も高くなり何度も裁判所へ行かなければならず、ある程度の負担がかかります。
どの手続きを選べばいい?債務整理を選択する際の判断基準
最適な手続きを判断する基準のひとつに「任意整理で解決できるか」があります。
あくまで一つの基準ではありますが、「債権者に任意整理の交渉をして、元金のみの4年分割で和解できた場合」を想定し、問題なく完済できそうか検討してみましょう。
元金÷48=任意整理後の毎月の返済額
生活費や他の借金(奨学金や住宅ローンなど任意整理の対象にできないもの)の返済も鑑みて、任意整理後の返済が毎月難しそう・不安があるということであれば、自己破産や個人再生を検討しましょう。
なお、「どの債務整理が適切か」を個人で判断することは難しいといえます。まずは、借金問題に取り組んでいる、弁護士などの専門家に相談してみましょう。
弁護士は、借金の概要や収支状況、家族への影響や守りたい資産などの要素から、解決方法を包括的に考え提案することができます。
無料で相談できる弁護士事務所も多いので、信頼できる弁護士を自分で選んで、依頼するようにしましょう。
そもそもなぜ借金が減らないのか
借金が減らない理由として、主に以下の3つの理由が考えられます。
- 毎月の支払いが利息ばかりになっている
- 収入に対して借入額が大きすぎる
- 返済したら生活費などが足らなくなり、また借りる・・・という自転車操業になっている
それぞれの詳細と対応する債務整理をみていきましょう。
毎月の支払いが利息ばかりになっている
特に消費者金融などでは、比較的利率が高いうえに毎月の返済額が低い金額で設定されており、最低返済額が「その月の利息分の金額」のみでよい場合が多いです。
債権者が基準とする返済額で毎月返済しても元金が減りにくく、最低返済額を支払い続けているだけでは元金は一切減らないのです。
きちんとシミュレーションをして計画的に返済をしなければ、短期で完済することは難しいでしょう。
この場合は、将来利息をカットもしくは大幅減額して、期間を決めて完済する任意整理でお悩みを解決できるケースが多いです。
収入に対して借入額が大きすぎる
何らかの事情で収入が減ったり失業したりすると、借金の返済が困難になってしまいます。
債権者と交渉して、毎月の返済額を抑えてもらったとしても「生活が苦しく、借金がなかなか減らない」というつらい状況になってしまうでしょう。
大きすぎる借金の解決方法としては、自己破産か個人再生が適切である場合が多いです。
自転車操業になっている
借金を返済することで生活が苦しくなり、借金を繰り返してしまう・・・このような状態は「自転車操業」といわれることもあります。
自転車操業状態では、借金が減るどころか増えてしまうケースも多いです。
借金額と収入や、借金の原因などによって最適な手続きは異なりますが、自転車操業状態になっている・借金を滞納してしまっているなどの場合も、債務整理の何らかの手続きで解決できるケースがほとんどです。
「どの債務整理が適切か」については、弁護士などの専門家に相談してみましょう。
債務整理のデメリットが心配……自力で解決する方法は?
どの債務整理にも「ブラックリスト状態になる」などのデメリットがあります。その点を気にして、自力で解決しようとする方もおられます。
今よりも借金を減らすために、自力ではどのような対処法があるのか、解説していきます。
・収入を増やす
副業や転職をして収入を増やし、なるべく多くの借金を返済できるようにする方法です。借金の完済が早ければ、その分支払う利息が少なくなります。
・節約する
通信費や無駄な保険料を削る、車を手放すなどして節約し、借金返済にあてる方法です。
・借換え
今よりも利率の低い借金に借り換えると月々の返済額や総返済額が減る可能性があります。
・親族に立替えをお願いする
親などの親族の中でお願いできる方がいれば、いったん立替えをしてもらうのも一つの方法です。
自力で返済する場合の注意点
たとえば、収入を増やすために副業を行うような場合に、無理をして心身を壊してしまうようなケースもありえます。しかし、働けなくなっては元も子もありません。
また、すでに返済を滞納したり自転車操業状態になっていたりするなら、地道に収入を増やしたり節約したりしても追いつきません。債務整理を検討した方が解決に近づきやすいでしょう。
何度も返済が遅れたり滞納してしまったりすると、すでにブラックリスト状態になっている可能性が高いため、債務整理を行うデメリットもそれほどないといえます。
「自力で解決した方がいいのか」「自分が債務整理をした場合のデメリットはなにか」といった内容でも相談可能ですので、弁護士などの専門家に気軽に連絡をしてみることをおすすめします。
まとめ
借金を減らしたいときには債務整理が有効な解決方法となります。
ただ、どの債務整理が最適なのかはその方の状況や借金の原因などによっても異なります。
自力で解決する方法としては以下のようなものが考えられます。
- 収入を増やす
- 節約する
- 借換え
- 親族に立替えをお願いする
何度も返済が遅れたり滞納してしまったりすると、すでにブラックリスト状態になっている可能性が高いため、債務整理を行うデメリットとしてはそれほどないといえます。
そもそも自力で返済していける状態なのかも含め、一度借金問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。