自己破産できる条件とできない場合の対処法【債務整理】

借金がかさんだときには自己破産で再スタートする方法があります。自己破産をするには、支払い不能、免責不許可事由に該当しないという条件を満たしている必要があります。

ここでは、債務整理に詳しい弁護士が、支払い不能の状況、免責不許可事由の概要など、自己破産の条件と、条件を満たさずに自己破産できないときの対処法について詳しく解説していきます。

この記事の要約

  • 自己破産の主な条件は、支払い不能なことと、免責不許可事由に該当しないこと
  • 免責不許可事由に該当しても、裁量免責により自己破産できることもある
  • 自己破産の条件を満たさないときは、任意整理や個人再生を検討

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 堀川 民人

弁護士法人サンク総合法律事務所 堀川 民人

自己破産ができる条件

自己破産は、裁判所から免責してもらうことにより、税金等の一部を除くすべての負債の支払い義務を免除してもらう手続きです。

自己破産するには以下のような条件を満たしている必要があります。

1:支払不能
2:免責不許可事由がない

他にも、非免責債権に該当しないこと、所定のお金・書類を裁判所に納めること、不当な目的がないことなども条件に含まれますが、ここではこの2点を詳しく解説します。

支払不能

支払不能とは借入、収入や資産状況からして客観的に支払いの継続が困難な状態です。

「〇〇円以上の借金がある」などの金額の基準ではなく、その人の収入や借入額など様々な要素から、支払不能かどうかが決定されます。

支払不能となる例
借金額が400万円、毎月の返済額が12万円、給与の手取りが月額20万円、預貯金などの財産はほとんどない。賃貸でひとり暮らし。この場合、20万円の給料から12万円を支払ったら毎月8万円しか残らず、400万円を完済するまで支払いを継続するのは難しいので、支払不可の観点からいうと自己破産が可能です。
支払不能ではない例
借金額が400万円、毎月の返済額が12万円、給与の手取りが月額100万円、預貯金は0円。賃貸でひとり暮らし。この方の場合、100万円の給与から12万円を支払っても78万円が残り、一般的に言えば生活には困りません。400万円は自力で完済できるので「支払不能」といえず、自己破産ができない可能性が高いです。

このように「支払不能かどうか」は人によって個別に判断する必要があります。もちろん上記の例以外にも判断する要素はたくさんあります。

自分で判断しにくい場合には弁護士に相談してアドバイスをもらいましょう。

免責不許可事由がない

免責不許可事由に当てはまらないことも自己破産の条件です。

該当すると、免責許可が下りない可能性があるため、自己破産をする場合は免責不許可事由がないほうが好ましいです。

免責不許可事由とは?

免責不許可事由とは、「あてはまると免責許可が下りない事情」です。

免責は借金を0にしてもらう決定ですから、せっかく破産をしても免責許可が下りなければ借金がなくならず、自己破産に失敗してしまいます。

免責不許可事由として問題となることが多いのは、以下のようなものです。

・過大な浪費
買い物や旅行、グルメなど、収入に比して不相当な浪費により借金してしまった場合・過大なギャンブル
パチンコやパチスロ、競馬や競輪、宝くじなどのギャンブル行為で借金してしまった場合

・過大な投資
先物取引やFX、株式投資などで自分の資力・能力にそぐわない投資をするために借金してしまった場合

・財産隠し
自己破産の際、没収されたくないので財産を隠した場合

・債権者隠し
あえて一部の債権者を裁判所に報告しなかった場合

・クレジットカードの現金化
たとえば、破産直前に新幹線の定期券をクレジットカードで購入してチケット屋に売り現金を手にするなど

・裁判所や管財人に協力しない
破産中、裁判所や管財人の手続き進行に協力しない場合

・一部の債権者にのみ返済する
個人の借入先、連帯保証人のついている借金など一部の債権者にのみ支払いをした場合

・過去7年以内に免責を受けた
過去7年以内に破産をして免責を受けていたら、その間の2回目以降の免責を求めても、原則として再度の免責は許されません。7年以上経過してから破産の申立をする必要があります。7年以内に給与所得者等再生を利用して返済を終えた場合や個人再生のハードシップ免責という制度の適用を受けた場合も同じです。

※ 裁量免責について

免責不許可事由があっても、免責を受けられる場合はあります。裁判所が裁量免責をしてくれる可能性があるからです。

裁量免責とは、免責不許可事由があっても事案全体を考慮して裁判所が免責を認めることです

たとえば浪費やギャンブル、投資損失などで借金した場合でも、本人がしっかり反省していて破産が初回であり、借金方法が悪質でなく、借金の金額が高額でないなどが充たされた場合には最終的には免責を受けられることがあります。

ただし前回の破産から7年以内、給与所得者等再生やハードシップ免責を適用されていて再生計画認可決定から7年以内のケースでは裁量免責を受けにくくなっています。

破産手続きと免責手続き

自己破産の手続きは「破産」と「免責」の2段階です

破産とは「破産者の財産を清算する手続き」で、免責とは「破産者の負債を免除する手続き」です。

破産の手続きが長引かない場合には、まずは破産の手続きを行い、これが終了してから、裁判所が免責しても良いかを判断することが通常です。破産ができても免責を受けられないと借金がなくならないので、破産する意味がないことがほとんどでしょう。

前述した「支払不能かどうか」は破産の要件であり「免責不許可事由がないこと」は免責許可の要件です。

両方とも揃っていないと自己破産に失敗するので、事前にしっかり検討しておきましょう。

自己破産ができない場合の例

ここまでの内容から、自己破産ができない場合の具体的な例をまとめました。

支払不能ではない場合

もちろん借金の額にもよりますが、ある程度の収入があり実家暮らしなど、客観的に支払不能と判断されない場合は自己破産以外の解決方法を模索した方が良いでしょう。

浪費やギャンブルを繰り返して2回目以降の破産

浪費やギャンブルなどで借金をしても、1回目であれば裁量免責してもらえる可能性があります。しかし同じ問題を繰り返して2回目、3回目の自己破産申立となってくると、裁量免責が認められず自己破産に失敗する可能性が高くなります。

前回の破産・給与所得者等再生等から7年以内

前回の破産で免責を受けてから7年以内、前回給与所得者等再生をしてから7年以内、個人再生でハードシップ免責を受けておりその再生計画認可決定から7年以内の方は免責を求めても受けられません(自己破産ができません)。

また、自己破産できないわけではありませんが、破産すると基本的に生活に必要な程度を超える財産がなくなるためどうしてもそのような財産を失いたくない方も自己破産に不向きです。

自己破産ができない場合の対処法

自己破産できない場合の対処法の一部をご紹介します。

支払不能ではないケース

支払不能には該当しないが少しでも返済額を減らしたい場合や、返済計画を立て直し早く完済したい場合は任意整理を検討しましょう。

任意整理には支払不能の要件はなく、反対に継続収入があれば利用できます。

利息をカットもしくは大幅減額できるので、返済が楽になり返済総額が減額されます

支払いがどうしても苦しい方だけではなく「このままの約定でも支払えるけれど、今より返済を楽にしたい」という方にもお勧めです。

免責不許可事由があるケース

免責不許可事由があっても、1回目の破産で裁量免責が見込めそうな場合には、依頼する弁護士とよく相談して自己破産にチャレンジしてみても良いでしょう。

裁量免責が見込めそうにない場合や、2回目3回目の破産で免責が難しい場合には、個人再生による解決を検討しましょう。

個人再生をしたら借金を5分の1~10分の1程度にまで減らせるので支払いが楽になります。

財産を失いたくないケース

持ち家や預貯金、保険などの財産を失いたくない方は、まずは任意整理や個人再生を検討してみてください。これらの手続きでは財産を手放さなくて済む可能性が高いです。

住宅ローン特則つきの個人再生を利用すれば、住宅ローンのある方でも家を守れます。

ただし収入がなくどうしても任意整理・個人再生ができない場合は、最終的に財産を諦めて自己破産せざるを得なくなる可能性もあります。

また、自己破産をしてもそれ以外の債務整理をしても、ブラックリスト状態になるので、クレジットカードやローンを一定期間利用できなくなることには注意が必要です。

最善の対応方法は一人ひとりの状況によって異なります。「自己破産できないかもしれない」「条件を満たさないかも知れない」と悩むより、一度弁護士に相談してみてください。

きっと解決の糸口が見つかり、「早く相談すればよかった」と感じるはずです。

まとめ

自己破産ができる条件は、支払不能ということと、免責不許可事由がないということですが、免責不許可事由があったとしても裁量免責により免責が受けられるケースもあります。

自己破産には「破産手続き」と「免責手続き」があり、どちらの条件も揃っていないと自己破産に失敗してしまいます。

自己破産ができない場合は、状況に合わせて任意整理や個人再生といった他の債務整理手続きを検討しましょう。

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