年収の何割以上の借金が債務整理の目安になる?

借金返済に終わりが見えない、返済が遅れがちになっているなど、借入れに関して悩んでいる場合は債務整理で状況がよくなることがあります。

では、債務整理を考えるにあたり、年収に対する借金の割合など目安はあるのでしょうか?

今回は借金返済と年収の目安について解説します。

この記事の要約

  • 総量規制を基準にして、年収の3分の1以上の借入れがある場合は債務整理を検討した方が良いという考え方もある
  • 実際の判断基準はその人の住む地域や家族構成、収入と支出、借入理由などの状況による
  • 的確な判断をするためには、弁護士や司法書士といった専門家に相談するのが最善

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
代表弁護士 樋口 卓也

弁護士法人サンク総合法律事務所 樋口 卓也

債務整理とは

債務整理とは、法的な対応によって借金を減額・免除することができる手続きの総称です。

「借金の返済のために借金を重ねてしまう」「滞納している」など、返済が苦しい状況にある債務者の、経済生活の立て直しをするため手続です。

債務整理には、主に任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。

総量規制(年収の3分の1)は返済できる限界の金額!

総量規制という言葉をご存知でしょうか?

借入残高(残りの借金額)の合計が、年収の3分の1を超える場合に、返済能力を超えるものとして追加の借入れが原則禁止されます。これがいわゆる総量規制です。

何社もの貸金業者から借りている場合、その借金合計額が年収の3分の1以上だと、追加の借入れは原則できないことになっています。

総量規制の対象は消費者金融やクレジットカードなどの貸金業者で、銀行や信販会社のローン(車のローンなど)は対象外です。

(参考:お借入れは年収の3分の1までですー日本貸金業協会)

このことから、住宅ローンや車のローン以外の借入れが年収の3分の1以上ある場合、債務整理を検討した方がよいと言われています

年収と同じくらいもしくは年収以上の借金があるのは危険?

年収と同じくらい借金がある、もしくは年収以上の借金があっても、先述したとおりそれらの借金が住宅ローンや車のローンなどであれば問題ありません(ただし住宅ローンや車のローンなどの借入れであっても、年収に見合っておらず滞納していたり、他の借金で補填する必要があるなどの場合は、借換えなどを検討した方がよいでしょう)。

問題なのは、借入時より年収が下がったなどの事情により、「住宅ローンや車のローン以外の借入れが年収と同等もしくは年収以上」の場合です。

この状況は総量規制をはるかに超えており、返済不能になる可能性が高いため、早急に債務整理などの対策を検討する必要があります

返済できていたとしても、「利息ばかり支払って借金自体は全然減っていない」状態になっていたり、返済のためにまた借入れをし続けるという自転車操業状態になっている可能性が高いでしょう。

実際の判断基準はそれぞれの状況による

それでは、年収の3分の1やそれに近い額の借入れがある人は皆、債務整理をした方が良いのでしょうか。

これは、曖昧な表現ですが「状況による」ということになります。

たとえ同じ年収・同じ借金額の人でも、住む地域や家族構成、収入と支出、借入理由などにより判断基準は変わってくるのです。

また、最適な手続きの弁護士費用などと借金総額の兼ね合いもあるでしょう。

ここで、2人の男性の例を見てみましょう。

どちらも『手取り年収300万円、貸金業者からの借金は1社90万円のみ(年利率18%)、月返済1.9万円』という状況です。

Aさんの場合(地方在住)

収入34万円-支出31.7万円なので、毎月の余剰は2.3万円です。

ここから消費者金融へ1.9万円の返済をするわけですから、毎月ギリギリで貯金もほとんどできません。それどころか、過去に返済ができなかった月が何度かあり、すでにブラックリスト状態になってしまっています。

現状の収支で計算すると、今後必ず発生するであろう住宅修繕費や、子どもの進学の際の学用品費などの目処もつかない状態です。

この例でいうと、Aさんは一刻も早く任意整理の手続きを行うのが最善です。

詳しくはこちらの記事をチェック!voluntary-liquidation

任意整理の手続きを行えば、過払い金が発生している場合に元金から減額してもらえます。つまり借金が減るかもしれないのです。

また、このまま返済を続けていれば、Aさんは総額でおおよそ70万円程度の将来利息を支払う計算でした(貸金業者によって年利・固定金利や変動金利などタイプが異なる上、返済が滞れば遅延損害金が発生します)。

将来利息とは、これからも元金と共に毎月支払っていくはずだった利息のことです。

任意整理を行い相手の合意が得られれば、この将来利息をカットもしくは大幅減額できるので、たとえ過払い金がなかったとしてもメリットは大きいでしょう。

さらに、Aさんが今任意整理を行えば、子供達の大学入学前にはブラックリスト状態から解放される可能性があります。このまま遅れながら返済を続けていくよりはずっと早い解決となります。

現状ブラックリスト状態のAさんには、任意整理を行うデメリットは特にないと言えます。

Bさんの場合(東京都内在住)

収入25万円-支出19.5万円なので、Bさんの毎月の余剰は5.5万円です。

ここから毎月1.9万円の返済をして余った分は、趣味や買い物に使っており、毎月少しずつ貯金もできています。

Bさんの場合は、任意整理をしなくても解決できる可能性が高いと言えます。

もしこのまま、毎月の余剰5.5万円を全て借金返済にあてれば、1年半~2年程度で完済できる計算です。

Bさんがブラックリスト状態になるデメリットを懸念するのであれば、一踏ん張りして1〜2年返済額を増額し、返済を終わらせるのが良いでしょう。

ただ、ここでよく考えたいのが「借入れ理由」です。

浪費癖やギャンブル等により借金が増えてしまったのであれば、任意整理をしてしばらく借金ができない状況を作り、司法書士や弁護士と協力して完済を目指すのも解決法のひとつです。

任意整理は、基本的に裁判所を通じて行う手続きではない為、債権者が納得すれば交渉が成立します。よって、資産や収入が多すぎるために任意整理ができないというルールは特にないのです。

つまり、収入に対する月の返済額が大きすぎて大変だと感じる場合や、総量規制内の借入れでも本人や家族に事情があり早急な解決を望む場合などは、主に任意整理などの債務整理を検討した方が良いということになります。

また、貸金業者以外の借入れ(総量規制の対象ではない、銀行ローンや法人ローンなど)も多く、借金返済のために借入れを繰り返したり、クレジットカードを生活費の補填に使ったりする、いわゆる「自転車操業」になっている場合は、任意整理以外の債務整理を検討した方が良いかもしれません

詳しくはこちらの記事をチェック!debt-settlement

的確な判断をするために

金銭面で一時的に困った場合、借金をすることで生活や事業がうまくいくことはよくあるので、決して借金が全て悪いという訳ではありません。

ただ、

「まあいいか、いつかなんとかなるだろう」

「まだ頑張れる」

というような楽観的思考から、いつまでも完済できない人や自転車操業になる人が少なくないのです。

逆に、「もう無理かもしれない…」と感じている人でも、利息計算や収支計算をしてみたり、客観的な意見をもらったりすることにより「自力で完済できる」という結論になる可能性は大いにあります。

少しでも不安がある場合は、弁護士や司法書士に相談してみましょう。目安はあくまでも目安であり、それぞれの状況に対しての最善策というのは、プロと話し合って決めるのが一番だからです。

まとめ

住宅ローンや車のローン以外の借金が年収の3分の1以上ある場合は、債務整理を検討した方が良いという考え方があります

ただ、その人が債務整理をした方が良いかどうかは、それぞれの状況(住む地域や家族構成、収入と支出、借入理由など)により異なります

債務整理をするかどうかは、弁護士などの専門家に相談して決めるのが最善です。

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