恋人や婚約者など、これから人生を共にしようとしている人に借金があったとき、どのように対応すべきでしょうか。
借金を隠されていたという事実を知った時点で気持ちが冷めてしまった場合は、必然的に別々の道を歩むことになるでしょう。
一方、借金の事実を知っても別れを選択しない場合、今後について一度しっかりと話し合ったほうがよいかもしれません。
本記事では、彼氏や彼女など恋人の借金が発覚したあとのとるべき行動を紹介しています。恋人の借金発覚で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 中島 大地
彼氏・彼女に借金があると分かったとき、まずすべきこと
彼氏・彼女が借金をしていると発覚した場合、まずは自分の気持ちを一度確認してみましょう。
今後も一緒に歩む気持ちを持てるなら、解決策について一緒に考えてみましょう。
「もう付き合いきれない」と感じるのであればきっぱりと別れることも、2人のための選択です。
しかし、借金といってもさまざまな理由があるため、まずは事実関係を聞いてから冷静に判断するようにしましょう。
借金の理由を聞く
彼氏・彼女が借金をしている事実を知ったら、まずは借金の理由を聞いてみましょう。
恋人とはいえ、聞きにくいと感じる方もいるかもしれません。
しかし、一緒に将来を築きたいと考えている場合は、自分の将来にも深く関係のあることになります。
冷静に判断するためにも、借金に対する対応を考えるためにもまずは耳を傾けることが大切です。借金の理由には以下のような種類が挙げられます。
家や車ローン・奨学金
借金が住宅ローンや自動車ローンなどであれば、必要以上に心配することはないでしょう。奨学金に関しても同様です。
これらは金利が低く返済期間も長期に設定されているため、安定した収入があれば無理なく返済できるはずです。
ビジネスや投資のための借金
仕事や事業のために借金をしている人も少なくありません。
出世や将来の独立のために自分に投資している人や、事業を行っていて銀行や日本政策金融公庫から事業向けの低金利の融資プランで借金をしている人もいるでしょう。
これらの借金をしていること自体は、仕事のために仕方がないことといえるでしょう。
ただし、事業用資金は高額であるケースが多いため、心理的負担を抱えることにはなるかもしれません。
また、仕事が上手くいかずに返せなくなってしまう場合もあることは、頭の中に入れておいたほうが良いでしょう。
身内の借金を肩代わりしているケース
身内の借金を肩代わりしていたり、家庭の事情などで借金を抱えていたりする人もいます。
本人には非がないとはいえ、結婚すれば自分も身内になるわけですから不安に思うのは当然です。
可能であれば、借金の理由や金額などを聞いてみましょう。
あまり良くない理由で多額の借金をしている場合、結婚後に親族との関係に悩まされるおそれがあります。
借金の理由が病気などやむを得ない事情ではない限りは、慎重な判断をする必要があるでしょう。
ギャンブル・浪費・お酒が原因の借金
借金の理由が、ギャンブル・浪費・お酒に関係している場合はとても危険です。
これらは依存性が高く、一度借金をしてしまうと、再び借金を繰り返す可能性が高いでしょう。
このような原因で借金をしている場合、恋人との将来を真剣に考え直す必要があり、依存症状の改善が見込めない場合は別れの選択も考慮すべきです。
借金の金額を聞く
金額の規模によって取るべき対応は変わってくるので、いくら借金があるのか確認しましょう。
住宅ローンの場合は数千万円単位の借り入れは珍しくなく、奨学金や事業に関する融資も数百万円以上であるケースも多くあります。
借金の額を考慮しつつ、金利や返済計画、使用用途が肝心です。
最初に金額だけ聞くと驚いてしまう可能性もありますが、内容をよく確認して冷静に判断しましょう。
借入先を聞く
借金額と合わせて、借入先についても確認が必要です。
銀行や消費者金融、個人間の借金など、どのような契約で借りているのかを聞きましょう。
万が一、借入先が多い多重債務状態になっているなら、借金が雪だるま式に増えていくので、危険な状態とも言えます。
また、ヤミ金と呼ばれるような場所から借金をしている場合、早急に解決策を探さなければなりません。
返済の見通しを聞く
今後の返済の見通しについても確認しておきましょう。
収入によって返済の重みは違うため「借金がいくらまでなら安心」と、金額だけで判断はできません。
毎月決まった収入があれば、そのうちの何パーセント程度を返済に充てているのか数値化して確認してみてください。
自営業やフリーランスの場合は、固定収入がないため、余裕を持った返済計画を立てておくことが肝心です。
今後の借金返済の道のりを把握は彼氏・彼女との将来を考えるうえで大切です。
返済状況などの情報共有をしっかり行う
返済状況を共有してもらいましょう。
借金の元本や金利、毎月どのぐらい返済できており、現在の返済率はどの程度なのかなど、書き出してもらうのがおすすめです。
返済計画を立てる
彼氏・彼女との交際を続けるのであれば、今後の返済をどのように進めるのか一緒に計画を立てましょう。
すでに借入先と取り決めされている返済計画があれば、それに沿う形で問題ありません。
もし、個人間の借金など返済計画があいまいな場合は、彼氏・彼女の収入と毎月の支出の概算をもとに毎月いくら返済するのか決めましょう。
彼氏・彼女との関係性にもよりますが、一方に金銭的に余裕がない場合、どうしてももう片方にしわ寄せがきてしまいます。
家計をともにする夫婦でなかったとしても、交際を続ける中で何らかの影響がでる可能性があるものです。
納得して交際を続けるためにも、返済計画を立てたうえで返済状況、滞納や遅延がないか、返済計画に無理がないかなどをこまめにチェックしましょう。
彼氏・彼女の借金でやってはいけないこと
彼氏・彼女の借金が発覚した際、パートナーが「やってはいけないこと」について解説します。
良かれと思ってした行動が逆効果になることもあるため、どのような行動がNGなのかを把握しましょう。
恋人の借金の建て替え
彼氏・彼女が借金に困っているからと、自分が代わりに返済する行為は行わないでください。
返す約束で建て替えをしたとして、最終的に彼氏・彼女が自分に返済してくれなくなった場合、泣き寝入りをすることになります。
法的手段を取り、返済を求めたとしても確実に回収できる保証はありません。
また、安易に手助けをするのは彼氏・彼女を甘やかすことになるので、相手を想う意味でも控えるのが賢明です。
恋人の連帯保証人になること
恋人の連帯保証人になることは絶対にやめましょう。
連帯保証人とは、債務者が借金返済しないときに、代わりに返済の義務を負う人のことです。
つまり、彼氏・彼女が返済できなくなったり、消息をたったりした際は、保証人である自分が払わなくてはなりません。
債務者と同じ負債を抱える立場になるため、その責任とリスクは非常に大きなものです。
また、恋人が「いざとなったら肩代わりしてくれる」という甘えた考えを持ってしまうおそれもあるため、決して連帯保証人にはならないでください。
彼氏・彼女が借金返済できないと感じたらすべきこと
借入状況を整理する中で、返済できる見込みがないと感じた場合は債務整理という借金解決の手続きを恋人に勧めたほうが良いかもしれません。
しかし、いずれの手続きも専門的な知識がなければスムーズな対応が難しいものです。
ここでは具体的な行動例や債務整理の3つの種類を紹介します。
まずは弁護士に相談
借金問題を抱えている場合、まずは専門家である弁護士に相談することが最優先事項です。
「弁護士に相談するなんて緊張する…」と感じるかと思いますが、このような心配する必要はありません。
弁護士は借金に関するさまざまなトラブルの解決に向けてサポートしてくれるので、安心して相談しましょう。
弁護士への相談は、借金をしている本人以外からの相談も受け付けてもらえる場合があるので、「恋人が借金を抱えていて」といった形で相談してみるのも良いでしょう。
ただし、弁護士への依頼は本人しかできませんので、弁護士に相談して借金問題を解決することを彼氏・彼女に説明することが必要となってきます。
なお、彼氏・彼女が借金の取立てを受けている場合、弁護士に債務整理を依頼すると取立てがすぐに止まるので、1日も早く弁護士に相談することをおすすめいたします。
任意整理
任意整理は借金の返済額を減額してもらう制度です。
借金の元金は減りませんが和解以降の利息をカットし、返済期間を3~5年程度に設定して無理なく返せるように計画を立てます。
彼氏・彼女が借金を一応返済できてはいるけど元金がなかなか減っていない場合、借金額が大きく完済まで長くかかりそうな場合などに適した手続きです。
個人再生
個人再生は裁判所に申し立てを行い、借金を5分の1~10分の1程度に減らせる制度です。
借金の元金を減らすことができるので、任意整理をしても借金を返していけない時に選択することがあります。
また、個人再生は住宅を失うことなく借金を大幅に減らすことができるのが特徴で、もし恋人が不動産を所有していて、そのローンを支払っているのであれば、個人再生が適している可能性があります。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てを行い、借金の返済を免除(ゼロ)にしてもらう手続きです。
任意整理や個人再生とは異なり、自己破産が認められると借金がなくなります。
恋人の借金が高額で、かつ返済不能な状況の場合に自己破産が適している可能性があります。
ただし、自己破産をすると一定以上の価値がある財産や預貯金などを失うことになるなど、他の債務整理よりも大きな影響を受けますので、自己破産の判断は慎重に行う必要があります。
彼氏・彼女が債務整理する際の注意点
彼氏・彼女が債務整理することで、自分にはどのような影響が出るのか、以下でまとめています。
債務整理の影響は、何年間も続きますので、結婚を考えているなら必ず把握しておきましょう。
債務整理後は数年間ブラックリスト入り
債務整理を行った場合、申立人はブラックリスト状態となります。
ブラックリスト状態とは、信用情報機関に事故情報が掲載されることで、ブラックリストに載っている間は以下のことができなくなります。
- 新規の借入やローン
- クレジットカードの利用と作成
- 保証人になること
- 信販系保証会社への加入が必須となる賃貸物件の契約
ブラックリストは一生涯続くわけではありませんが、たとえば任意整理なら借金完済から約5年が経過するまで掲載され続けます。
債務整理をした数年後に結婚する場合、その時の彼氏・彼女はブラックリスト状態であると考えておいたほうが良いでしょう。
本人以外はブラックリストの影響を受けない
補足としてお伝えすると、借金をしている人と結婚をしても、それだけで配偶者がブラックリストに載ることはありません。
ブラックリストの影響を受けるのは、債務整理をした本人だけで、配偶者が借入やローン、クレジットカードの利用で制限を受けることはなく、今まで通り利用することができます。
住宅ローンやその他ローンが組めない可能性がある
ブラックリストの話の中でお伝えしたとおり、ブラックリスト入りしている間は、ローンが組めません。
そのため、ブラックリスト入りしている彼氏・彼女の名義で住宅ローンや自動車ローンを組むことはできず、結婚後の計画が変わってしまう可能性があります。
一方で、先ほどもお伝えした通り、ブラックリストの影響は債務整理をした本人のみが受けるので、配偶者が住宅ローンや自動車ローンを組むことは可能です。
ただし、ペアローンや連帯債務は利用することができないでしょう。
借金を繰り返される可能性
いわゆる「借金癖」がある場合、債務整理をした後も再び借金をすることが考えられます。
借金の理由がギャンブルや浪費によるものである場合、懲りずに繰り返す可能性が高いでしょう。
現在は恋人関係であっても、今後家族になる可能性があるのであれば、金銭感覚のすり合わせをしっかり行うべきです。
結婚後も借金が続くと、安定した家計を保つのが難しくなるかもしれません。
お金に困る結婚生活になる
債務整理を行ったとしても、破産をして借金が全額免除される場合以外は分割して返済する必要があります。
毎月数万円を借金返済に充てるため、生活費に余裕がない日々が続くかもしれません。
車や家電など高額な買い物をする際、ローンを組めないパートナーに代わり自分のクレジットカードを使ったり、分割支払いを申し込んだりする必要があります。
常に借金がある状態は、精神的に負担に思う方もいるでしょう。
借金を抱えている彼氏・彼女と結婚を考える際は、将来の家計についてもしっかりと考えておく必要があります。
借金は完済したらゴールではない
彼氏・彼女が借金を完済できても、金銭感覚の正常化ができていなければ根本的な解決になりません。
今後、結婚して生活を共にするのであれば、金銭感覚のズレは大きな問題に発展するでしょう。
ギャンブルやお酒が原因の借金であれば、お金の問題以前に依存に対する治療が必要かもしれません。
一方、家族の借金を肩代わりした場合や病気による借入など、やむを得ない状況下での借金の場合、きちんとした返済計画があれば円満な夫婦生活を送れる可能性が十分あるでしょう。
先ほどもお伝えしたように、債務整理を行った場合、任意整理や個人再生であれば3〜5年は返済が続きますし、ブラックリストの影響がなくなるまでには完済から5年ほどかかります。
そのため、長いスパンでサポートしていく覚悟が必要です。
今の恋人と生活をともにすると決めた際には、お金の使い方について一緒に考えて、将来に向けた行動をとっていきしょう。
まとめ
彼氏・彼女の借金が発覚したら、焦ったり悲しくなったりするかもしれませんが、ますは現状の理解から行いましょう。
今後どのように対処していくのか、無理のない返済計画が立てられるのかを、2人で考えてみてください。
ただし借金の理由や金額によっては、別々の道を歩む決断も必要です。
恋人とともに歩むと決めたけれど自分たちで解決できるか判断できない場合、専門家である弁護士に相談することがおすすめです。
その道のプロが最適解となるルートを提示してくれるでしょう。
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「恋人の借金で相談したい」という方からのご連絡にも対応しています(但し、実際のご相談の際にはご本人にも同席していただく必要があります。)ので、当事務所までお気軽にお問い合わせください。