個人再生の履行テストは、再生委員が選任された場合には再生委員の指定口座に入金して行います。
また、任意整理を行うとき「プール金」が必要になることがあります。
履行テストやプール金とは一体何なのでしょうか。どのような場面でどのくらい必要になるのかも気になります。
今回は、個人再生の履行テストや任意整理のプール金とは何か、なぜ必要なのか、また振り込みができなかった場合どうなるのかなどについて解説します。
- 個人再生の場合、各裁判所の運用にもよるが基本的に積立金は必要
- 任意整理の場合は、依頼した弁護士事務所などによって、プール金積立が必要な場合とそうでない場合がある
- 履行テストやプール金の金額は、最終的に債権者らへの支払いを予定している金額に合わせることが多い
- 履行テストやプール金が支払えないと、弁護士に辞任されたり、債務整理の方針変更を提案されたり、手続きがストップしてしまう可能性がある
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 市川 正敏
債務整理で必要な積立金
任意整理や個人再生においては、依頼した弁護士事務所から、手続き中にプール金などの積立を依頼する連絡が来ることがよくあります。
委任契約書の内容にプール金積立に関する条項がもうけられていることもあります。
プール金とは、月々の積立金です。債権者や裁判所ではなく、基本的には依頼した弁護士事務所に積み立てるお金です。
任意整理の場合は、依頼した弁護士事務所などによって、プール金積立が必要な場合とそうでない場合があります。
個人再生の場合、各裁判所の運用にもよりますが、依頼した弁護士事務所や再生委員の口座に振り込む形で積立金を作っていくことになります。
任意整理のプール金や、個人再生の履行テストの目的とは
支払い能力を示す
プール金を積み立てる最大の目的は、債権者や裁判所に支払い能力を示すということです。
任意整理では「将来利息などをカットもしくは大幅減額し、残りの金額を3年〜5年程度で分割して支払う」ということを、交渉により債権者に納得してもらう必要があります。
この際に、任意整理後支払う予定の月額をしっかりプールできている実績があれば、債権者からの信用を得やすくなります。
個人再生では、「借金(債務)を減額してもらった後の総額を、原則3年間で分割して支払う」という再生計画を立て、再生計画が裁判所に認可された場合に支払う予定の金額を一定期間(6ヶ月間ほど)毎月積み立てるのが一般的です。
この積立テストのことを履行テストと言います。
確実に履行テストの支払いができなければ、再生計画通りに支払っていくことができないのではと懸念され、再生計画が認可されない可能性が高いです。
任意整理・個人再生どちらにしても、積立がしっかりとできていれば、債務整理後の支払いを計画通りに実行できるという印象を債権者や裁判所に与えることができ、手続きが成功しやすくなります。
頭金が必要な場合に備える
任意整理では、債権者によっては分割返済金の数ヶ月分を頭金として支払うことで交渉が有利になる場合があります。
そのため、プール金を頭金として返済に充てることがあります。
弁護士費用に充てられる
積立したプール金は、弁護士費用に充てられることが多いです。
弁護士が債務整理の依頼を受け、債権者の元に受任通知を送ると、多くの場合、これまで通りの借金返済と督促がストップします。
その間に積み立てたプール金を弁護士費用の分割払いに充当する事務所があります。
任意整理や個人再生の弁護士費用を一括で支払うことが難しくても、債権者への返済がストップしている間に毎月分割で積み立てることができるという方は多いでしょう。
ただ、事務所によってはプール金の制度がない場合もありますし、債権者や借金の滞納状況などによってはプール金積立をする猶予がない場合もあります。
弁護士費用の支払い方法やプール金から充当できるのかなど、弁護士事務所への依頼前や依頼時に確認しておきましょう。
履行テストやプール金の金額の決め方
履行テストやプール金の金額は、最終的に債権者らへの支払いを予定している金額に合わせることが多いです。
たとえば個人再生で月々3万円の支払いが必要になる見込みであれば、履行テストで支払う金額は最低月々3万円必要になるケースがほとんどです。
このように、履行テストやプール金の金額は一概に何円ということは出来ず、債権者や債務総額などによって異なります。
プール金がある場合、その金額については依頼する弁護士に確認してみましょう。
プール金積立の時期と積立方法
プール金は、弁護士に依頼してから初めの数ヶ月間で支払うことが多いです。
毎月決められた期日までに指定された口座に振り込む方法で、基本的には任意整理の契約日や民事再生の申立日から1ヶ月以内に、初回振り込み期日が設定されます。
履行テストやプール金の積立ができなかったらどうなる?
弁護士に辞任される可能性がある
プール金が支払えないということは、任意整理や個人再生の手続き後、数年続く返済もできる見込みがないと弁護士から判断される場合があります。
「毎月の入金が○ヶ月滞った場合辞任する」と委任契約書に記載されていることも多いので、気になる方は確認してみましょう。
自己破産への方針変更を提案される可能性がある
弁護士によっては、プール金積立ができないことにより、辞任しないまでも自己破産への方針変更を勧めてくることがあります。
自己破産は、裁判所に申立をして税金や健康保険料など一部の債権を除き借金を「完全に0」にしてもらえる手続きです。ただし生活に必要な最低限を超える財産は、基本的にすべて失われます。
任意整理や個人再生など返済が残る手続きを行うことが難しいのであればと、借金問題を根本から解決する自己破産を提案される場合があるのです。
特に個人再生は手続きがストップしてしまう可能性がある
個人再生においては、裁判所も履行テストにおける積立金を非常に重要視しています。
個人再生の履行テストは、再生委員が選任された場合には再生委員の指定口座に入金して行います。入金が記載された通帳は再生委員から裁判所に報告されます。
履行テストやプール金の積立ができないと手続をすすめること自体が難しくなりますので注意しましょう。
無理なく履行テストやプール金の支払いを維持し、債権者に納得してもらうには?
任意整理後における完済までの時期について、債権者によっては1〜3年など比較的短い期間でしか和解してくれない場合があります。また、返済を滞納している場合は訴訟の進行状況などによっても、債権者が和解に応じる条件が変わってきます。
債権者との過去の交渉実績等を元に、任意整理後の支払いとして最適な月額をプール金として設定する必要があるのです。
また、任意整理・個人再生をする本人が、その月額を現実的に支払い続けられるのかも、しっかりと検討する必要があります。
もしかすると、その月額では支払いを維持することが難しいため、他の債務整理を検討した方がいいかもしれません。
これらをまとめて相談でき、最善の方法を提案してくれるのが、債務整理の実績が豊富な弁護士です。
実績豊富で親身になってくれる弁護士に相談し、自分の収入・支出などを細かく伝えることによって、最善の債務整理を提案してもらったり、無理のない、債権者にも納得してもらいやすい支払い計画を立ててもらえるでしょう。
まとめ
プール金とは、月々の積立金です。
任意整理の場合は、依頼した弁護士事務所などによって、プール金積立が必要な場合とそうでない場合があります。
個人再生の場合、各裁判所の運用にもよりますが、基本的に積立金は必要になります。
プール金の目的は主に以下です。
- 支払い能力を示す
- 急な支出のために備える
- 弁護士費用にあてられる
履行テストやプール金の金額は、最終的に債権者らへの支払いを予定している金額に合わせることが多いです。
履行テストやプール金が支払えないと、弁護士に辞任されたり、債務整理の方針変更を提案されたり、手続きがストップしてしまう可能性があります。
債務整理の実績が豊富で、親身になってくれる弁護士に相談することで、最善の債務整理を提案してもらったり、無理のない、債権者にも納得してもらいやすい支払い計画を立ててもらうことができます。