任意整理を検討する際、必要書類にはどのようなものがあり、どの程度揃える必要があるのでしょうか。「たくさん証明書類が必要だったらどうしよう」「捨ててしまった書類がないと任意整理が受けられないかも?」など、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、任意整理に必要な書類やあった方が良い書類、状況別に必要となる書類などについて解説しています。
- 任意整理には「身分証明書・印鑑・カード類」などが必要
- 借入先を把握していない場合は信用情報を取り寄せる
- 債権者からの督促や裁判所からの通知がきている場合は早急に弁護士に提出する
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 町田 麻美
任意整理で必ず提出する書類
任意整理で必ず提出する必要のある書類は以下の通りです。
- 身分証明書
- 印鑑
- キャッシュカード・クレジットカード
「これだけ?」と思われた方もいるかもしれませんが、基本的な必要書類は意外とシンプルです。
任意整理を始めるにあたっては、まず弁護士事務所への相談や面談からスタートするのが一般的となります。その際、本人を確認するための書類として身分証明書の提示が求められるでしょう。
また、任意整理手続きを依頼するにあたっては、押印した契約書を提出するため、印鑑も必要です。
任意整理手続きに入ったら、所持するクレジットカードでの借入ができなくなります。持っているすべてのカード類も準備しておきましょう。
相談内容によっては、今後の生活や他の債権者への影響を検討する必要が出てくる場合もあります。その際には、「収支表」や「債権者一覧表」のような用紙へ記入を求められることが多いでしょう。
収支や債権者(借入先)がわかる書類も準備しておけば、よりスムーズですが、これらは次章で紹介する「あった方が良い書類」ととらえることができます。
「本人確認書類」「印鑑」「クレジットカード類」の3つがあれば、任意整理に着手することができると考えてよいでしょう。
手続きがスムーズに進む「あった方が良い書類」
上記の必要書類以外は、基本的になくても弁護士に任意整理を依頼することができます。ここでは、あればより短い期間でスムーズに対応できる「あった方が良い書類」について解説します。
あった方が良い書類は主に以下です。
- 直近2~3ヶ月の給与明細や源泉徴収票
- 依頼する債権者との借用書や契約書
- 依頼する債権者への借入額や借入残高がわかる書類
直近2~3ヶ月の給与明細や源泉徴収票
収支を確認するために、収入がわかる、または証明できる書類として、直近2~3ヶ月分の給与明細か、前年度の源泉徴収票があるとよいでしょう。
処分してしまった場合でも、勤務先へ伝えれば再発行してもらえるケースが多いです。わざわざ「任意整理に必要」と言わなくても、「間違えて処分してしまい、手元に置いておきたい」等と伝えればよいでしょう。
依頼する債権者との借用書や契約書
借入をしている金融機関や事業者との間で交わした契約書などもあった方がよいでしょう。
契約書か借用書のいずれかがあれば、両方を準備する必要はありません。債権者から借入をしたことが証明できればよいのです。
借入時に届いたはずの契約書や借用書がなくても、債権者からの督促状など、その後に受け取っている郵便物で証明できる場合もあります。詳しくは依頼する弁護士に確認してみましょう。
依頼する債権者への借入額や借入残高がわかる書類
任意整理を依頼する債権者からいくら借りていて、現在の残高がいくらとなっているかがわかる書類もあるとよいでしょう。
弁護士が債権者一覧表を作成する際に必要となる書類ですが、万が一なくても、支払いの振り込みや借入の入金履歴がわかる通帳などから辿ることも可能です。
言われた通りの書類が準備できない場合、その旨を正直に弁護士へ伝えることも大切です。債権者の詳細や借金額を調べる方法はいくつかあるため、任意整理を進めるために必要な書類を作成するためのアドバイスを受けて進めるようにしましょう。
【状況別】任意整理の必要書類
任意整理を依頼する際、冒頭で紹介した3点の必要書類に加え、状況によっては追加で必要な書類が出てくるケースもあります。
状況別に、必要となり得る書類について、以下で詳しく見ていきましょう。
借入先を把握していない場合
「何件か借入があるがずっとほったらかしで、どこからいくら借りているか覚えていない」といった場合は、信用情報を取り寄せる必要があります。
信用情報とは、信用情報機関から取り寄せることのできる、クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、客観的な取引事実を登録した個人の情報(下記CICのHPより)のことです。
日本の信用情報を扱う機関は、現在以下の3つが存在しています。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 一般社団法人全国銀行協会(全銀協)
銀行やカード会社などの金融機関は、上記のような信用情報機関へ加盟しています。
新規借入やカード入会の申し込みなどがあった場合、各金融機関は加盟している信用情報機関へ問い合わせを行い、申し込みをした人の過去の借金や滞納履歴などを確認することができるのです。
信用情報機関への信用情報取り寄せ依頼は、誰でもできるわけではありません。加盟している金融機関の限定された担当者か、履歴を記録されている本人しか取り寄せることができないのです。
家族の信用情報を確認したり、金融機関の担当以外の社員が信用情報を取り寄せたりすることもできないようになっています。
現在の借入状況について知ることのできるもっとも確実な方法として、信用情報の取り寄せが必要となるケースがあります。
信用情報で確認できる借入状況によっては、任意整理以外の債務整理を検討する必要があるかもしれません。
債権者からの督促や、裁判所からの通知が来ている場合
もし債権者から督促状が届いていたり、裁判所から貸金返還についての裁判手続に関する通知が来ていたりするような場合は、できるだけ早い段階で債務整理を依頼できる弁護士へ相談し、それらの郵便物を提出することをおすすめします。
債権者や裁判所からきている書類により、弁護士が滞納の進行状況を把握し、最適な手続きを提案することができるからです。
また、債務整理の手続きに弁護士が着手した場合、各債権者へ「受任通知」と呼ばれる通知を発送します。
これを受け取った債権者は、それ以降借金の取り立てをストップしなければならないことが、法律で定められています。
ただし、裁判手続についてはストップさせることは出来ないので注意が必要です。場合によっては、すぐに手続きに入らなければならないこともありますので、必ず弁護士に伝えましょう。
督促や裁判所の通知を放置していると、残債の一括請求や、給与または財産などの差し押さえという事態になる恐れがありますので注意しましょう。
不動産を担保に借入している場合
不動産を所有している人が、不動産を担保に借金をしている場合には、不動産登記簿謄本が必要です。
不動産の登記簿謄本は、法務局で入手することができます。
不動産を担保にして借金をしている人の場合、不動産を取られることを怖れて、債務整理に消極的になるケースも多く見受けられます。
しかし、不動産を担保として取られることなく、任意整理に成功できる可能性も充分にあります。
追い詰められて苦しい思いをしながら耐えるよりも、まずは信頼できる弁護士へ相談してみましょう。
まとめ
任意整理に必要な書類は、基本的には「身分証明書」「印鑑」「キャッシュカードやクレジットカードなどのカード類」の3つとなります。
それ以外にも、あった方が良い書類として「源泉徴収票」や「債権者との契約書」などがありますが、それらは、あればより短い期間でスムーズに対応できるという意味で必要となる書類なので、任意整理を弁護士へ依頼する時点では、準備できていなくても依頼することが可能です。
任意整理の依頼を受けた弁護士が、債権者へ受任通知を発送すれば、すべての借金取り立てや返済計画などがストップされます。
もっとも、裁判手続についてはストップさせることは出来ないため、差し押さえが実行される前に手続きに入ることが重要となります。