個人再生の利用条件と失敗するケースを弁護士が解説|2種類の手続きの違いも

個人再生の利用条件と失敗するケースを弁護士が解説|2種類の手続きの違いも

個人再生に成功すると借金返済額を大幅に減らせます。借金問題への対策としては、非常に有効といえるでしょう。

ただ、状況によっては失敗してしまう可能性もあるので、注意も必要です。

今回は個人再生に失敗するケースや個人再生できる条件について解説します。これから個人再生しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の要約

  • 個人再生には小規模個人再生(原則的な個人再生の方法)と給与所得者等再生(安定性の高い収入を得ている方が選べる方法)の2種類がある
  • 個人再生の基本的な条件「返済不能となるおそれがある」「借金総額が5,000万円以下」「将来にわたり継続的に収入を得る見込みがある」
  • 1.に加え、小規模個人再生特有の条件:債権者から1/2以上の不同意(反対)がない
  • 1.に加え、給与所得者等再生特有の条件:「給料等の収入が安定していて変動の幅が小さい」「過去7年以内に、個人再生手続きのハードシップ免責許可決定に係る再生計画認可の決定、給与所得者等再生の再生計画認可決定、破産手続免責決定を受けていないこと」

結論:個人再生とは裁判所を通じて借金を最大10分の1に減額できる手続き。利用には継続収入の見込みが必要。

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 市川 正敏

弁護士法人サンク総合法律事務所 市川 正敏

個人再生とは?借金を最大10分の1に減額できる手続き

個人再生とは、裁判所へ申立をして再生計画を認めてもらい、借金を大幅に減額してもらう手続きです。個人再生に成功すると、借金を最大10分の1にまで減らせます。

減額された借金は、手続き後原則3年間で分割して返済できます。

個人再生の2種類の手続きと利用条件|小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

個人再生には小規模個人再生給与所得者等再生の2種類の手続きがあります。

それぞれについて解説していきます。

小規模個人再生の利用条件|会社員・自営業・パートも対象

小規模個人再生とは、原則的な個人再生の方法です。会社員だけではなく自営業者、パートやアルバイトの方なども利用できます。

小規模個人再生の利用条件は、以下のとおりです。

返済不能となるおそれがある

「このままでは借金や負債の返済ができなくなるおそれがある」場合に個人再生を利用できます(既に返済できなくなっている人も含みます)。借金の返済が問題なくできる方は個人再生できません。

借金総額が5,000万円以下

借金や未払い通信料などの負債総額が5,000万円以下でなければなりません。(ただし住宅ローン特則を使った場合の住宅ローン残高は除いて5,000万円を計算します。)

将来にわたり継続的に収入を得る見込みがある

個人再生後の返済ができる方でないと利用できません。将来にわたって継続的に収入を得られる見込みが必要です。

債権者から1/2以上の不同意(反対)がない

こちらは、小規模個人再生特有の(給与所得者等再生にはない)条件です。

小規模個人再生では、手続きの最終段階で「債権者による書面決議」が行われます。ここで1/2以上の債権者が反対したり、累計して総債権額の半分以上の債権を持つ債権者が反対すると、再生計画が認可されません。

個人再生に成功するには、1/2以上の債権者が反対しないことが必要となります。

給与所得者等再生の利用条件|公務員・サラリーマン向けの特別手続き

給与所得者等再生とは、公務員やサラリーマンなどの極めて安定性の高い収入を得ている人が利用できる特別な個人再生手続きです。年金受給者も利用できるケースがあります。

一方、自営業者・フリーランスの方は基本的に利用できません。給与所得者等再生が認められるには、以下の要件を満たす必要があります。

返済不能となるおそれがある

小規模個人再生と同様「このままでは借金や負債の返済ができなくなるおそれがある」場合に個人再生を利用できます。借金の返済が問題なくできる方は個人再生できません。

借金などの総額が5,000万円以下

借金や未払い金などの負債総額が5,000万円以下でなければなりません。(ただし住宅ローン特則を利用した場合の住宅ローン残高は除かれます。)

将来にわたり継続的に収入を得る見込みがある

個人再生後の返済をきちんと行うため、将来にわたって継続的に収入を得られる方が対象となります。

ここまでは、小規模個人再生にもある条件です。ここからが、給与所得者等再生特有の条件です。

給料等の収入が安定していて変動の幅が小さい

給与所得者等再生の場合、小規模個人再生以上に「収入の安定性」が重視されます。単に収入を得られるだけではなく、収入の変動幅が小さく安定している必要があります

一般的には年度により「年収の5分の1以上の増減」があると安定性に欠けると評価されます。

過去7年以内に、個人再生手続きのハードシップ免責許可決定に係る再生計画認可の決定、給与所得者等再生の再生計画認可決定、破産手続免責決定を受けていないこと

過去に自己破産や個人再生をしていると、給与所得者等再生を利用できない可能性があります。

まず自己破産によって免責を受けた場合、7年以内に給与所得者等再生を利用することができません。

そして、過去に個人再生のハードシップ免責を受けた場合、その再生計画認可決定確定日から7年間は給与所得者等再生を利用できません。

過去に給与所得者等再生を利用してきちんと返済を終えた場合、その再生計画認可決定時から7年間は新たに給与所得者等再生を利用できません。

過去に利用したのが小規模個人再生でハードシップ免責を受けていない場合には、特に年数制限なしに新たに給与所得者等再生を利用できます。

給与所得者等再生のメリット|債権者が反対しても再生計画が認可される

給与所得者等再生は、小規模個人再生に比べて条件が厳しくなっています。

収入の高い安定性も必要ですし、過去に破産していると利用できないケースもあります。

一方で、給与所得者等再生の場合には、再生計画認可の際に債権者による書面決議が行われません。債権者が反対しても、再生計画を認可してもらえて借金が減額される可能性があります

「債権者が反対していても利用できる」という意味では、給与所得者等再生の方が小規模個人再生より利用しやすい面があるといえるでしょう。

個人再生に失敗する3つのケースと具体例

個人再生に失敗する例として、以下のようなケースがあります。

返済に充てられる収入が不足しているケース

Aさんには500万円の借金があり、現在月収は手取りで13万円程度です。生活費を差し引くと、返済に充てられるお金は1万円程度しかありません。

500万円の借金があると、小規模個人再生で借金を最大限減額してもらっても、月額27,700円程度の返済は必要となります。

Aさんの場合、月に返済に充てられるお金が1万円しかないので、個人再生はできません。裁判所に申立をしても棄却されてしまうでしょう。

借金総額が多く返済計画が組めないケース

Bさんは消費者金融などで500万円、住宅ローンの残債を3,500万円抱えています。収入は月20万円ほどで、返済には月5万円まで充てることができます。

もともと住宅ローン特則を利用したかったのですが、家の競売手続きが進んで強制売却され、家を守れなくなってしまいました。借金額は合計4,000万円となっています。

この場合、小規模個人再生で最大限借金を減額してもらっても、400万円までしか減りません。3年返済の場合には毎月111,000円もの返済が必要となってしまいます。5年返済にしてもらっても月66,600円ずつ返済しなければなりません。

Bさんが毎月返済に充てられる額は月5万円なので、返済能力が足らず、個人再生は利用できません。

大口債権者が反対しているケース(小規模個人再生の場合)

Cさん(自営業者)は借金1,000万円を抱えています。大口の債権者はD社で、借入額は700万円、他の300万円分の債権者は計3社です。

CさんはD社ともめてしまい、D社は個人再生に反対しています。この状態で小規模個人再生を申し立ててもD社が反対するので再生計画は認可されないでしょう。

もしもCさんが給与所得者なら給与所得者等再生を利用できますが、収入の安定しない自営業者なのでそれもできず、個人再生を諦めるしかありません。

個人再生が自分に向いているかは弁護士への無料相談で確認を

借金がかさんだとき、個人再生がベストな解決方法となるかどうかは人によって異なります。状況によっては条件を満たさず、個人再生できないケースもあるでしょう。

個人の状況に適した借金問題の解決方法については、専門家に判断してもらうと確実です。

弁護士に相談すれば、個人再生だけではなく任意整理や自己破産も含めて最適な解決方法をアドバイスしてもらえます。

借金に悩んでいる場合は、1度債務整理に積極的に取り組んでいる弁護士に相談してみましょう。

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