
借金返済をしている場合、「早く借金を終わらせたい」という気持ちと、「何かあった時のための貯金をしないと」という気持ちが葛藤し、ジレンマを抱えることがよくあります。
借金返済と貯金はどちらを優先すべきなのでしょうか?また、貯金をするとしたらどのような方法が最適なのでしょうか?
今回は借金返済と貯金のどちらを優先すべきかと、借金返済しながら貯金する方法を解説します。
- 借金の額が少ない場合は貯金より借金返済を優先した方が良い
- 借金の額が大きい場合は、なるべく低い利息で計画的に返済を行い、節約して毎月少しずつでも貯金をしていくのが理想
- 任意整理などの債務整理を行えば、返済にあたって利息がつかない・もしくは大幅に減額されたり(任意整理)、借金自体が減額・免除されたりし(個人再生・自己破産)、さらに一定期間借入れをすることはできなくなるため、借金問題を早期に解決でき、なおかつ、貯金もしやすくなる
監修
弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 町田 麻美
借金の額が少ない場合は貯金より借金返済を優先
利息が発生する借金の返済がある場合は、余裕があっても貯金にまわすのではなく、借金返済にまわすのが最善、というのが一般的な意見です。
借金返済が長引くほど、利息が多くかかるからです。
特に、借金の残高が数万円と少なく、終わりが見えている場合は、まず借金返済に注力して、完済してから貯金を始める方が効率的です。
とはいえ、手元に貯金がない状態だと将来が不安になりますよね。たとえば、家族の突然の病気や怪我、冠婚葬祭、車や家電の修理・買い替えなど、不測の事態を考え始めたらキリがありません。
積立てしているものや保険がないかよく考える
預金口座など、目に見えて貯まっていくものだけが貯金ではありません。
たとえば会社で財形貯蓄をしている場合や、生命保険の積立てをしている場合、積立金の一部を引き出せるケースがあります。
また、子供の学資保険を積立てしている場合は、進学などで必要な費用はそこから捻出することができますし、マンションの修繕が必要な際は火災保険でカバーできるかもしれません。
これらの積立てが給与からの天引きや預金口座からの自動引落になっている場合は、案外、加入していることを認識していない場合が多いです。いざという時に役に立つ備えになっているかもしれませんので、確認してみましょう。
借金返済の負担が大きいうちは、このような備えがあるだけで不測の事態に対応できることも多いでしょう。
借金の額が多い場合は、なるべく少ない利息で返済しながら貯金をする
先述したように、借金返済の終わりが見える金額であれば、貯金よりもまず返済を終わらせることが先決ですし、いざという時のための保険や積み立てがあれば安心です。
しかし、借金の額が大きく、備えもないという場合は、今後何かあった時のことを考えてますます不安になってしまいますよね。
借金の額が大きい場合、なるべく低い利息で計画的に返済を行うとともに、並行して、節約を心がけて毎月少しずつでも貯金をしていくのが理想です。
貯金することが習慣になっていないと、借金を完済したとしても、その後、貯金していくことが難しい場合が多いです。ですから、借金の返済が長引くようであれば、返済と並行して、少しずつでも貯金をしていき、貯金することを習慣づけることが理想的なのです。
借金返済中でも毎月5000円でも貯金をするよう心がけておけば、返済後も無理なく貯金できるのではないでしょうか。
ここから、
- なるべく低い利息で計画的に返済を行う方法
- 節約して毎月貯金をしていく方法
と分けて解説していきます。
なるべく低い利息で計画的に返済を行う方法
借り換えをする
もし、今の借金が消費者金融やクレジットカードのキャッシング・ショッピングのものであるなら、自治体や銀行など利息がかからない、もしくは少ない債権者に借り換えするのが良いでしょう。
以下、利率が高い債権者から低い債権者に借り換えした場合の例です。
毎月支払う金額のうち利息はとるに足らないものに感じますが、完済する頃には大きな差になっています。
親族に協力してもらう
もし親族などが協力的であれば、今の借金を一括返済してもらい、あとは自分で親族に対して利息なしや低い利息で返済していくという方法も取れます。
親族と話し合い、毎月最低いくらずつ、何年で完済するというようにしっかりと計画を立ててから借りるのが良いでしょう。
債務整理をする
借り換えや親族の協力が難しいのであれば、債務整理を検討しましょう。
債務整理とは、借金返済の負担を減らすために、返済額を減額したり免除してもらう手続きの総称です。主に弁護士などが代理となって行います。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があり、いずれかの手続を利用することで借金問題を解決することができます。どの手続きを利用するかは、状況に応じて選択することになります。
この中でも任意整理という手続きは、裁判所を通さずに直接債権者と交渉する手続きであるため、家族や職場への影響が少なく、周りに知られずに借金問題を解決できるケースが多いです。
任意整理は、債権者と交渉して、返済金額や返済期間などを合意(和解)し、それに従って返済していく手続きです。通常、3~5年で分割返済していくことになりますが、利息はつかない、もしくは大幅に減額してもらえることが多いです。
利息はつかない、もしくは大幅に減額してもらえることが多いため、先述した低金利の債権者への借り換えよりもメリットが大きいです。さらに、親族には借金問題を内緒にしたいという場合も、任意整理が適しています。
また、3~5年と返済期間が決められるため、無理なく計画的に返済していくことができます(利息はつかない、もしくは大幅に減額になり、また、無理のない範囲で返済金額や返済期間が決められるので、今までよりも返済が楽になるケースが大半です)。
もちろん、繰上返済をすることで、当初予定していた返済期間よりも早く完済することも可能です。
ただ、任意整理を含めた債務整理全般には、ブラックリスト状態になるというデメリットがあります。
ブラックリスト状態とは、信用情報機関に「債務整理をした」という事故情報が掲載され、その後のローンやクレジットカードなどの審査に通りづらくなることです。
事故情報は、任意整理の場合、最後の返済をした日から5~10年で解消されます。
節約して毎月貯金をしていく方法
意識して節約しなくても、借金を返済しながら貯金ができるというのであれば何の問題もありませんが、通常は、意識して節約しないと、借金返済と貯金を両立することは難しいのではないでしょうか。
節約の方法は様々ですが、ポイントは、家計を記録することで収入と支出を把握し、節約できるポイントを見つけ、なおかつ、それを家族などと共有することで実践していくことです。
借金の借り増しはしないよう注意!
借金返済と並行して貯金をする場合、借金の借り増しをしないことが何より重要です。
特に消費者金融やクレジットカードのキャッシング・ショッピングの借入れはちょっとした気の緩みでが増えてしまいがちです。
せっかく貯金をしながら計画的に返済していても、借入れが増えては元も子もありません。
たとえばクレジットカードで買い物するときには一括払い以外は利用しないようにする、消費者金融の返済は銀行やコンビニ振り込みにし、カードやスマホアプリなどは破棄・消去する(容易に借入れできないようにする)など工夫する必要があります。
その点、任意整理などの債務整理を行えば、先ほど書いたとおり、ブラックリスト状態になるため、一定期間は借入れをすることはできなくなります。その結果、借金が増えることはなく、借金問題を早期に解決でき、なおかつ、貯金もしやすいと言えます。
まとめ
借金の額が少ない場合は貯金より借金返済を優先した方が良いでしょう。
借金の額が大きい場合は、なるべく低い利息で計画的に返済を行い、節約して毎月少しずつでも貯金をしていくのが理想的です。
債務整理を行えば、返済にあたって利息がつかない、もしくは大幅に減額されたり(任意整理)、借金自体が減額・免除されたりします(個人再生・自己破産)。
さらに一定期間借入れをすることはできなくなるため、借金問題を早期に解決でき、なおかつ、貯金もしやすくなります。